機械式時計の弱点
今回は、機械式時計の故障あるあるを書いていく。
いまやクォーツ式時計の精度や機能は日常生活に必要にして十分であり、時計の存在を意識することは少ない。
どこにでもあり、スマホやPC、テレビなど様々な機器の付加機能として搭載されている。
少し首を少し上げれば、そこら中に時計は時刻を告げている。
わざわざ不便な機械式時計の精度出しに無駄なコストをかけるのは、今やナンセンスともいえる。
一方でクォーツ式時計の存在以前は、時計といえば主に機械式時計のことを指している。
ただでさえ課題が多く、コストのかかる機械式時計は、必然的に高価なものが多くラインナップされていた。
1960年代ごろの国産機械式時計腕時計の相場は、大卒公務員の初任給の半額から同額が程度であった。
現在の価値に換算すると約10~20万円程度になるだろうか。
そんな、高級品であっても構造と動作原理からして、故障要因はとても多い。
機械式時計はとてもロマンにあふれ、魅力的ではあるが、それゆえの弱点を認識して使用する必要がある。
故障要因の多くは下記3点である
- テンプ(振り子)の動作不良、破損
- ゼンマイの動作不良、破損
- 潤滑油切れ、ゴミなどによる動作停止
機械式時計のトラブルシューティング
アンティーク時計によくある故障を書いてみる。そのほとんどがメンテナンスできる内容である。
- 秒針は動くが精度が出ない
- ゼンマイを巻こうとすると空回りして巻けない
- ゼンマイが巻きあがったまま巻けない
- リューズが引き出せない、抜ける、時刻調整ができない
- リューズを引き出しても秒針が止まらない
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広告1.秒針は動くが精度が出ない
考えられる原因としては精度を司るテンプ、ヒゲゼンマイ周りだ。
少し我々素人には手が出しづらい部分ではあるが、原因の特定の一助になれば幸いだ。
- ヒゲゼンマイの異常
- 天芯の異常
- 勘違い、考えすぎ、気にしすぎ
2.ゼンマイを巻こうとすると空回りして巻けない
これは大抵の場合、ゼンマイが切れている。
ゼンマイ交換で対応できる。
厚み、幅、長さが同等のものを選ぼう。
ただし、45キングセイコーなどのゼンマイはかなり特殊でレアなため、手に入れることが難しい。
単純に手巻き式の時計でない場合は、リューズを回しても空回りするので、再度稼働形式を確認しておこう。
3.ゼンマイが巻きあがったまま巻けない
これも単純に手巻き式の機械式時計が不動となっていることが多い。
ゼンマイは生きている可能性が高いので、テンプ周りの不良が考えられる。
テンプの摩耗、オイル切れ、天芯の破損などだ。
リューズに力を入れすぎるとゼンマイを破損する可能性があるので、注意すること。
4.リューズが引き出せない、抜ける、時間調整できない
こちらは、正しく組みあがっていない可能性が高い。または歯車、巻き芯などの部品の破損、さび付きが考えられる。
長期間の放置、乱暴な扱い、分解組み立ての不良などがそのような症状につながる可能性がある。
5.リューズを引き出しても秒針が止まらない
そもそも、秒針停止機能がない可能性が大きい。
再度、秒針停止機能を実装しているモデルであることを確認しよう。
アンティーク時計や機械式時計であるならあまり気にしなくてよい項目だ。
時計の故障原因を特定し、修理の指針とする
以上のチェック項目を実施することにより、時計の故障の原因を特定し、メンテナンスや修理の指針を立てることができる。
テンプ周り、ヒゲゼンマイ周りの不具合、破損は素人の手には余る可能性が高いので、敬遠するほうが無難である。
また、アンティーク時計については、振動数の高いもの8振動以上は、繊細な部品が多いので、敬遠する。