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SEIKO61スカイライナーのレストア

SEIKO 最後の手巻き時計、61スカイライナー

こんにちは、今日も元気にメンテナンスしていこう!

今回はSEIKO最後の手巻き時計である61スカライナーをレストアする。

今回も見事にボロボロであるが、できる範囲で対応していこう。

本モデルに搭載の61系のムーブメントは、グランドセイコーからSEIKO5アクタスまで幅広く使われたムーブメントだ。

このころのSEIKOのムーブメントは、ハイエンドの基本設計をローエンドでも共通化することで品質とコストを両立させる思想であったようだ。

特にこの61スカイライナーはとても洗練されていて、グランドセイコーよりもシンプルな分、機能美が光るモデルだ。

都合、他のモデルは自動巻きであったため、結果的にSEIKO最後の手巻き時計となった。

このころは多機能や高性能が価値基準であったようにも思う。

せっかくなので、このモデルについては、ぜひともノンデイトを選びたい。

今後もここまでシンプルかつ完成された機械式時計は、販売されることはないだろう。

ちなみにこの個体は裏蓋が欠品している。

なんとラッキーなことに手元に1つ手持ちがあるので、それで補填する。

自動巻きハンマーがないためにムーブメントがよく見える。

プレートの形状が直線的でモダンなイメージだ。

質素に思うかもしれないが、7S26や4R36などよりはよほど高級感がある。

さっそく分解してみよう

まずは、コハゼを外して、ゼンマイを開放する。

次に写真のようにオシドリを押しながらリューズを抜くとするっと外れた。

この時点で、ケースとムーブメントを固定する部分は存在しないので裏側からスルッと抜ける。

やはり文字盤の破損がひどい。

明らかに水没後に放置された個体であろう。場合によっては大量の汗だ。

まずは、剣抜きで時計の針を外して分解を進める。

針が取れたので、ムーブメントサイドの文字盤固定ネジを緩めて、文字盤を外す。

シンプルな構造のため分解手順は、ほぼ基本通りである。

文字盤を外しても、潔いくらいシンプルな地盤が顔をのぞかせる。

ムーブメントそのものには破損や欠品は見当たらない。

むしろ外観と比較するときれいなほうではないだろうか。

設計者からすると悲しい事実だが、せっかく素晴らしいムーブメントを作っても雑に扱われては、外装がもたない。

大切に使われれば、ムーブメントのテンプ軸あたりが真っ先に寿命を迎えるはずなのだが。

ツツカナも引き抜いておく、これは2番車に圧入されているので、慎重に引き抜く。

他のムーブメントと同じく、私は剣抜きを流用して引き抜いている。

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ムーブメント本体部分を分解する

いよいよ本体の分解に入る。

今一度ゼンマイを開放したことを確認したら、角穴車を取り外す。

角穴車をとり外したらコハゼを抑えているバネがあるので、これだけはくれぐれも紛失しないようにする。

プレートを留めているネジを外して、プレートを取り外す。

プレートを取り外すと香箱が顔をのぞかせる。

軸についてる黒いものは劣化したオイルやグリスと金属粉であろう。

後ほどふき取りしておこう。

続いてもう一つのプレートも取り外す。

輪列が見えた。ここに特に高級感はないが、昨今のモノと比べれば十分な高級感だ。

これらの歯車は特に固定されていないので、軸を曲げないように取り外す。

歯車が外れた状態。特に難しいことはない。

テンプASSYを取り外す。ここのヒゲゼンマイは特に繊細なので取り扱いに注意すること。

これを破損すると復活不可能だ。

続いて、アンクルを取り外す。ガンギ車は外れそうだがここでは外さない。

最後のプレートを取り外したら分解完了だ。

シンプルな構造ゆえに部品点数が少ない。実に美しい構造だ。

分解した部品は、超音波洗浄をして乾燥させておく。

この時ルビーが破損していると超音波で砕け散ることがある。

その場合は寿命だとあきらめよう。

部品の洗浄、乾燥がすんだら、ムーブメントの組立

回転軸を中心にオイルを注油する。

動力に近いほど硬いオイルを使用する。テンプに近いほど柔かいオイルを使用する。

しかし、私はめんどうくさいので1種類のみで対応している。

分解と逆の手順で組立していく。

2番車、ガンギ車、アンクルまでを取り付けした。

香箱を設置。2番車を固定する。

慎重にテンプASSYを取り付けする。

どの部品も軸が嵌まっていることを確認してからネジを締め付けること。

3番車、4番車を設置する。

プレートで歯車を固定する。

角穴車を固定してムーブメント本体の組み立ては完了だ。

文字盤側を組立する

文字盤側の組み立ても分解と逆の手順だ。ツツカナを圧入する。

短針を回す歯車を取り付ける。

文字盤の痛みが激しかったので、手持ちのものと交換する。

0:00を目指して針を取り付ける。

気合でケースを磨きこんで、新品の風防を取り付ける。

ステンレスケースは磨きこむことで、輝きを取り戻す。

コツはエッジを削らないように処理することだ。

うまくすればグランドセイコー並みの輝きも夢ではない。しかし、かなり難しいので私はできない。

ムーブメントをケースに収めて、リューズを設置、裏蓋を圧入する。

レストア完了 61スカイライナーの復活

以上でレストアは完了だ。当然ながら動作に問題はなく、外観もある程度復活させることができた。

まあ。風防はいざともかく、文字盤を破損させるのはやめてほしい。

このころの機械式時計の弱点は、明らかに防水性能である。

水と汗には気を付けよう。

今後もメンテナンス情報を伝えていくのでよろしく、それではまた。

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