SBXC075 悲しき世界限定300本
こんにちは、今回はSEIKOアストロンの限定モデルを紹介したいと思う。
腕時計の世界において、限定モデルとは一般に入手が困難で、人気のものは発売と同時にプレミアがつくものもある。
さらに高級機ともなれば、限定数と販売価格によって、そのハードルはさらに上がっていく。
そんな、SEIKOの中では高級な部類に入るアストロンレボリューションラインの限定モデルの一つがSBXC075である。
そんな素敵なモデルの特徴を以下にまとめてみた。
- HONDA e コラボレーションモデル
- 型式:SBXC075
- 機種名:アストロン レボリューションライン
- ムーブメント:5Xシリーズ
- ケース:チタン、ホワイトセラミック
- その他:全部品フルポリッシュ(裏蓋除く)
- 限定数量:300本
- 販売価格:594,000円(税込み)
- 販売日:2020年9月26日
他にも細かくいろいろあるが、とにかく気合の入ったモデルである。
何かの時に写真で見かけて、めっちゃカッコいいと思ったのを覚えている。
必死で探した結果、アストロンであることと、たったの300本限定品であることが分かった時は、ああもう手に入らないのかと思ってがっかりしたものだ。
量産腕時計の限定300本と言ったら、店頭で見かけることすら難しい数である。
そう思っていた時期がオレにもありました。
これってほんとに300本限定なの?
そう思うくらいネット上にはSBXC075があふれているのである。
しかも価格は30万円(定価より50%OFF)を余裕で切り込んでいる。
発売から2年以上経過しているにもかかわらずだ。
ナニコレ?圧倒的不人気なの?いや間違いない、売れてない。
気分的には中古も含めると100本以上市場に流通があるんじゃないだろうか。
こんなにも気に入ったデザインの時計が、この扱いだとうれしいやら悲しいやら。
まあ、買いやすいという点ではうれしんだけれども。
しかしながら個人的には納得いっていないので、不人気の理由を考察してみたいと思う。
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広告もしかしてだけどコラボ相手をミスってる?
最大にして明らかなる不人気の要因はコラボ先であるという結論に至った。
HONDAが悪いのか?いや「e」が悪い!
そもそもの土台である「e」という車の影の薄さが、圧倒的不人気の原因であると見て間違いない。
というよりも「e」という車の認知度どのくらいよ。
モーターショーにも出展してたのに知ってる人いなくね?
むしろ、「e」の存在を知っていたことにSEIKOの販売員が驚くくらいなので、相当な認知度の低さなのだろう。
最初はリップサービスかと思っていたが、どうやらそうでもないようだ。
その証拠に「NSX」とコラボしたモデルは市場に影も形もないではないか。
いったいどうなっているのか。
正直に個人的な感想を書けば「e」のライバル車ってFITかアクアだよねっていう気持ちになる。
実際にはそんなことはなく、比較することすらできないはずのプレミアムな位置づけなのだが、なんかもう写真ではコンパクトカーにしか見えない。
実際の車両を見てもかわいい車だなとは思うが、NSXのようなスピードやワクワクを感じる外観の車には仕上がってはいない。
意味合い的にそういう車でないことは理解しているが、もう少し魅力的なアピールが必要だったと感じている。
HONDAとして「e」は、会社の方針を電気自動車のみに舵を切った象徴であり、重要な位置づけの車であるといえる。
スポーツ色だって忘れていない作りとなっていることだろう。
それこそ、SEIKOでいうところのクォーツショック時の初代アストロンのような位置づけになるはずだ。
それに対し、並々ならぬ思いでアストロンでコラボしたSEIKOの気持ちもわかるような気はする。
もしかしてだけどいろいろミスってる?
そういうわけで、まずはHONDA eのせいにしてはみたけれど、わが身も振り返ってみてみよう。
アストロン側に見え隠れする不人気要因は下記
- 高級感が足りない
- 高すぎる
- デザインが丸い
- 軽い
まあ、こんなところだろうか。
これも、「e」と同様にほとんど勘違いというかイメージが先走っているためと言えそうだ。
不人気の理由まで見事にコラボレーションしているかのようだ。
実際に、この時計の購入を検討する人は、限定品でない通常のアストロンと比較するはずだ。
2本ないしは3本のアストロンを並べて思うだろう。
なんてかっこいいんだアストロンの「通常品」
価格も限定品SBXC075の半額以下だし、「e」とか知らないしコッチにしよう。
そうやって売れ残っていく様がありありと感じられるのだ。
「e」の存在を知っていて、SBXC075に一目惚れしたうえで、わざわざ見に来た私ですら、同じ思いに駆られたのだから。
SBXC075は「e」と同じく円を強く意識したデザインとなっている。そのデザインに合わせて、全部品をフルポリッシュして、さらに円を強調しているようだ。
しかしながら、腕時計の世界には「細く、鋭く、角を立てるべし」という謎のしきたりが存在する。
磨きこまれた部品のエッジが立っていたり、繊細に尖っているほうが、高品質とみなされるのだ。
当然、通常品のアストロンは、立体的なインデックスまで多面カットしてバリバリ角が出ているデザインである。
それに対してSBXC075は徹底的に丸、尖っているのは秒針くらいである。
さらに、通常品のアストロンはキラキラである。
ステンレスの磨きとヘアラインを使い分けて、立体感を演出するとともに、宝石のような美しさを放っている。
それに対してSBXC075は徹底的にモノクロ、白と黒とグレーの配色である。
頼みの綱のホワイトセラミックはきれいではあるものの、輝きという点では物足りないということになる。
ひどい言い方をすれば、磨かれたプラスチックと大差ない外観となってしまっている。
とどめは、その重さである。
本来の機能として、腕時計とは、適度な大きさで、より軽く、より薄いものが良いはずである。
しかし、近年は大型時計の流行があったせいもあり、「重いもの=良いもの」という謎の認識が広がった。
そのため、200g近くあるステンレスのケースと無垢ブレスをありがたがるようになっている。
確かに見た目的には磨かれたステンレスのほうが、セラミックよりもキラキラしている。
それに対してSBXC075はケースフレームはチタン、その他はセラミック、ベルトはウレタンかファブリックである。
「おいおい、60万出してウレタンとか布とかのベルト買えないよ」という声が聞こえてくるようだ。
いろいろ書いたが、まあこんなところだろう。
そりゃあ一般ウケしないですよねー。
SBXC075 実際どうなのよ
実際にも先述した通りなので、特にはない(T_T)
「大衆はいつも正しい」そんなことを言った人がいるとかいないとか。
それでは、SEIKOはSBXC075になぜそんな値段設定をしたのだろうか。
個人的見解では、余分に利益をのせたわけでも、値段を水増ししているわけでもない。
単純に、これを作ったらこの値段になるということだろう。
基本的に工業製品にプレミア価格は存在しない。
あのROLEXですら、工場出荷時は常に定価であり、それはコストから算出された正当な価格である。
その信頼こそがブランドであるともいえる。
よって、SBXC075は定価に見合ったコストがかけられているとみて間違いないだろう。
ムーブメントは共通化され、量産することでコストダウンが図られているので、主に外装やその他にコストがかけられていると推測できる。
そう考えると、主たる原因は300個という生産数にある。
1000個、2000個と生産していればまた違った価格と結果となったであろう。
300個生産品の専用部品に全部品のポリッシュ加工、専用生産ラインの構築、アフターサービス等総合的に考慮する必要がある。
コラボというくらいだから、HONDAとのやり取りもあるだろう。
その結果として、他にはない雰囲気の時計に仕上がっているとは感じている。
最も特筆すべきは、その軽さと硬さである。
チタンフレームと外装に一部セラミックを使用することで、総チタンケースよりも軽くできているといっていいだろう。
ファブリックベルトの組み合わせもその軽さを強調している。
そして、チタンやステンレスよりもセラミックは硬く、傷がつきにくい特徴もある。
サファイアガラス風防と併せてかなりの硬度であるといえる。
そのセラミックを工業製品レベルまで整えるのは並大抵の業ではない。
そんな、一般受けしない地味な魅力に包まれたモデルがSBXC075であるといえる。
それにしても、いったいなんでだよ?
しかし、こんなにも時計を軽く、硬く作ったのに、なんでだよSEIKOさん
なんでこんなに圧倒的にでかくて重いんだよ「箱」
それではまた。
セイコー アストロン Revolution Line HONDA e Limited Edition SBXC075
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