
- 1 機械設計エンジニアはモノづくりのプロ
- 2 そもそも機械設計とは何か
- 3 機械設計エンジニアが扱う代表的なもの
- 4 1. 自動車
- 5 なぜ難しいのか
- 6 2. バイク
- 7 3. ロボット
- 8 ロボット設計の難しさ
- 9 4. 航空機
- 10 航空機で重要なこと
- 11 5. 工作機械
- 12 代表例
- 13 なぜ重要なのか
- 14 6. 産業装置
- 15 この分野の特徴
- 16 7. 家電製品
- 17 8. 医療機器
- 18 なぜ難しいのか
- 19 9. 建設機械
- 20 10. 精密機器
- 21 実は「見えない設計」が多い
- 22 機械設計で共通して重要なこと
- 23 機械設計はCADだけではない
- 24 強い設計者ほど現場を見る
- 25 AI時代でも機械設計はなくならない
- 26 機械設計が面白い理由
- 27 まとめ
機械設計エンジニアはモノづくりのプロ
「機械設計エンジニア」と聞くと、多くの人は何を想像するだろうか。
- 図面を描く人
- CADを触る人
- 工場で機械を作る人
そんなイメージを持つ人も多い。
しかし実際の機械設計エンジニアは、
非常に幅広いモノづくり
に関わっている。
しかも扱う対象は、
巨大な産業機械から、手のひらサイズの精密機器まで様々である。
本記事では、
機械設計エンジニアが実際にどんなモノを扱っているのか、
そして設計現場で何を考えているのかを解説する。
そもそも機械設計とは何か
まず機械設計とは、
「必要な機能を現実の形にする仕事」
である。
単に形を描くだけではない。
- 強度
- 剛性
- コスト
- 加工性
- 組立性
- 安全性
- メンテナンス性
など、多くの条件を成立させながら設計している。
つまり、
“現実を成立(バランス)させる仕事”
なのである。
機械設計エンジニアが扱う代表的なもの
次に具体的にどんなものを扱っているのかをみていこう
1. 自動車
最も身近な機械の一つ。
かつ機械設計エンジニアが扱うもののイメージ第一位が自動車である。
いうまでもないくらい象徴的である。
そして、中身は超高密度の機械設計の集合体である。
自動車で設計されるもの
- エンジン
- モーター
- サスペンション
- ブレーキ
- ステアリング
- ボディ構造
- 冷却系
- 排気系
など。
まあ、だいたい丸ごと設計対象であるといっていいだろう。
最近の車は電子化されたので、ソフトウェアの部分や電気回路の部分は、別のエンジニアが担当することもある
それでも、100km/h以上で走行できる、1000kgを超える物体は機械設計エンジニアなしでは成立しえない
なぜ難しいのか
自動車は、
- 軽量
- 高強度
- 低コスト
- 高耐久
- 安全
を全て求められる。
しかも大量生産。
つまり、
極めて難易度が高い。
2. バイク
バイクも自動車に並んで、代表的である。
そして、電子化の度合いもまだ、自動車ほどでないため、機械設計エンジニアの影響の範囲は広い。
走行理論についても物理法則の塊みたいな乗り物である
そして、バイク設計は非常に奥深い。
なぜなら、
“人が直接感じる機械”
だから。
例えば
- 振動
- 重心
- 剛性
- 操縦感覚
など。
わずかな違いでも乗り味が変わる。
そんな味付けも機械設計エンジニアの領域である。
3. ロボット
近年急成長している分野。
そして、今や自動車を超える人気カテゴリーかもしれない。
ロボットと後述する航空宇宙分野が、最先端を感じさせる人気カテゴリーだ。
具体的なロボットでいえば、以下のようなものが挙げられるだろう
- 産業用ロボット
- 協働ロボット
- 人型ロボット
ロボット設計の難しさ
ロボットは、
- 軽量
- 高剛性
- 高精度
が必要。
さらに、
- 配線
- モーター
- 減速機
- センサー
も考慮する必要がある。
基本的に動作部分の機械設計は高難易度のものが多くなる。
当たり前のように動く、思い通りに動くものを作るのは容易ではなない。
4. 航空機
飛行機からロケットまで、最近はドローンなんかも含まれるかもしれない。
それらは機械設計の中でもトップクラスに難しい。
なぜなら、
“軽くて絶対安全”
が求められるから。
まず、基本の式が理論式ではなく実験式であることや、人が乗るものも多い。
そのうえで、事故が起これば多くの人命にかかわる。
さらに、軽量化のために強度をギリギリまで追い込む必要もある。
実にバランスが難しいものであるといえる。
航空機で重要なこと
- 疲労
- 振動
- 空力
- 温度変化
- 軽量化
など。
設計思想が極めてシビア。
例えば、飛行機を一度設計してみたものの、ほどんど乗車人数が確保できないなんてことになるかもしれない。
5. 工作機械
モノを作るための機械。
つまり、
“機械を作る機械”
である。
あまり目にしないので、イメージしにくいかもしれないが、まさにマザーマシン
作られるものの一段上の精度が要求される。
当然、取引単価も高くなるだろう。
代表例
- NC旋盤
- マシニングセンタ
- プレス機
- 研削盤
など。
なぜ重要なのか
工作機械精度が低いと、
作られる製品精度も下がる。
つまり、
産業の土台である。
これらの技術が海外に流れることを政府が留めるような場面もあるくらい、重要な機械である
6. 産業装置
工作機械と並んで重要な機械で工場で使われる装置。
これは一見地味であるが、経済的には最も優れていそうである。
なぜなら、産業、つまりは量産を支える道具であるからだ。
別の記事で書く予定だが、量産は産業革命以降、資本主義を支えるエンジンであったことは言うまでもない。
そんな、量産を支える産業機械には、惜しみない投資が行われるだろう。
例えば、
- 半導体装置
- 食品製造機械
- 搬送装置
- 自動組立機
など。
特にAIの期待も膨らみ、半導体業界への投資はもはやバブルではないかと言われるくらいだ。
AIが今後どのような立ち位置になるかは、注視していく必要がある。
個人的には、今までの人のありかたが変わるような、インターネットを超えるインパクトがあるような気がしている。
この分野の特徴
まさに大量生産で求められる要素の塊である。
- 完全自動化
- 高速化
- 高精度
が求められる。
さらに、
保守性も重要。
こんな風に、大量生産の権化みたいな機会が産業機械である。
7. 家電製品
だれもが見たこともあるし、イメージしやすいだろう。
身近だが非常に難しい。
なぜなら、
- 静音
- 小型
- 安価
- 安全
が求められるから。
ポイントは安いからといって設計が簡単でない点が挙げられる。
これらのコストパフォーマンスは効率的な量産あってこそだ
例えば
- 洗濯機
- エアコン
- 冷蔵庫
- 掃除機
など。
内部には高度な機械設計が詰まっている。
本来は店頭で並んでいるような価格で手にできるものではない。
しかし、産業革命以降の資本主義と大量生産の恩恵で一般人でも手にできる価格となっている。
「良いものを多くの人に届けられる」これが量産の基本概念である。
同時に「利益を最大化する方法」でもある。
8. 医療機器
これまた、人命のかかわる特殊な分野で、極めて責任が重い分野。
- 人工関節
- 手術ロボット
- MRI装置
- 医療搬送機器
など。
なぜ難しいのか
人命に直結する。
つまり、
“絶対安全”
が求められる。
それだけではない。
基本的な顧客が医療関係者ということが挙げられる。
医療と工業は似ているようでまったく異質な分野である。
医療機器の仕様を詰めたりするのはとても大変だろう。
なぜなら、使っている言葉や根本的な仕事に対する思想が異なるからである。
9. 建設機械
巨大な力を扱う世界。
例えば、
- ショベルカー
- クレーン
- ブルドーザー
など。
これらも大きく目立つため、イメージを持ちやすいだろう。
建設機械の特徴としては
- 高荷重
- 泥
- 水
- 衝撃
など、過酷環境で使われる。
つまり、
耐久性が極めて重要。
建設業界も医療業界と並んで、工業と似て非なる世界といえる。
設計とは最終的に人を見る仕事なので、ユーザーのバックグランドを抑えておく必要がある。
思想がズレると仕様がズレる
仕様がズレると不具合が起こる。
10. 精密機器
小型軽量は機械設計エンジニアの醍醐味である。
あまり理解されないかもしれないが、実は難しいのだ
例えば、
- 時計
- カメラ
- 精密測定器
など。
なぜ難しいのかといえば
微小誤差が性能に直結する。
つまり、
精度との戦い。
そして、それはあまり人に理解されない。
大きいもののほうが目立つしかっこいいからだ。
しかし、みんなが手にしているスマホも実は機械設計の塊である。
何も考えずに使いやすいもの、毎日使えるもの、自然と手にするモノは出来上がらない
実は「見えない設計」が多い
一般の人は完成品しか見ない。
しかし設計者は、
内部構造を作っている。
例えば
- ネジ一本
- ベアリング配置
- リブ形状
- 放熱構造
など。
細かい部分が性能を決める。
そして、よくできた設計ほど、使っていて気づかない。それほど自然で手になじんでいると言える。
まるで自分の手足のように使えて違和感やストレスがない。
何なら気持ちよくて自然と使ってしまっている
そんなモノを実現できるのか機械設計エンジニアである。
機械設計で共通して重要なこと
このように多くの分野があるが、分野が違っても、
モノを設計する本質は共通している。
1. 力の流れ
どこに力が流れるかをみる。
これは全分野で重要。
2. 壊れ方
設計者は、
「どう壊れるか」
を常に考えている。
3. 加工性
作れない設計は意味がない。
4. 組立性
組めなければ製品にならない。
5. メンテナンス性
実は作った後の方が長い。
機械設計はCADだけではない
新人ほど、
「設計=CAD」
と思いやすい。
しかし実際には、
- 現場確認
- 試験
- 打合せ
- 不具合解析
なども非常に多い。
それらの地味な仕事の積み重ねが実社会を支えているのである。
強い設計者ほど現場を見る
なぜか。
現実は図面通りにいかないから。
- 振動
- 誤差
- 摩耗
- 熱変形
など。
現場を見ると設計力が大きく伸びる。
どんどん現場に出ていこう
AI時代でも機械設計はなくならない
最近はAI化が進んでいる。
当然、機械設計の仕事はなくなるんじゃないかと心配になる人もいるだろう。
しかし機械設計は、
単純作業だけではない。
本当に重要なのは
- 本質理解
- 現場理解
- 壊れ方理解
- 判断力
なのである。
やがてはAIが代替できるかもしれないが、それはまだ先の話だろう。
他に次々と亡くなっていく分野があるので、その動向を見てから考えてもいいくらいだ。
そして、そうなった場合は別の仕事を探せばいいだけの話である。
AI時代に生まれる新しい仕事も多くあるだろう。
そして、機械設計エンジニアは他の仕事でも応用のきくスキルセットを持っているので、臨機応変に対応できるだろう。
さらに、もしかしたら気づいているかもしれないが、どんなに社会が便利になっても労働はなくならない
機械設計が面白い理由
機械設計は、
“現実に存在するモノ”
を作れる。
しかも、
自分の設計したものが、
- 動く
- 人を助ける
- 社会を支える
これは非常に面白い。
まとめ
機械設計エンジニアが扱うものは非常に幅広い。
- 自動車
- ロボット
- 航空機
- 家電
- 医療機器
- 工作機械
など、社会のあらゆる場所に存在している。
しかし共通しているのは、
“現実を成立させる”
ということ。
設計とは、
単に図面を描く仕事ではない。
- 力
- 熱
- 振動
- 人
- 現場
を理解しながら、
「安全に、長く、正しく動くモノ」
を作る仕事なのである。