
自分はエンジニアに向いているのかな?
そんなことが頭をよぎったことがあるのではないだろうか。
機械設計エンジニア。
響きだけ聞くと、
- 難しそう
- 理系エリート向け
- 数学が得意な人だけの仕事
と思われやすい。
たしかに、そんな人もいる。
しかし実際には、
必ずしも「頭がいい人だけ」が向いているわけではない。
むしろ設計現場では、
考え方や性格の方が重要になることも多い。
本記事では、
現役設計者の視点から、
機械設計エンジニアに向いている人の特徴を5つ紹介する。
「自分に向いているのか分からない」
という人の参考になれば幸いである。
1. モノを見ると「なぜ?」を考えてしまう人
これは非常に重要。
機械設計に向いている人ほど、
普段から無意識に構造を見ている。
例えば、
- なぜこの形なのか
- なぜここにネジがあるのか
- なぜこの材料なのか
- どうやって動いているのか
を考えてしまう。
つまり、
“仕組みに興味を持てる”
ことが大きい。
現時点でこれに当てはまらなくても、問題はない。
モノに興味があれば、設計をしていくうちに、徐々に興味を持っていけるだろう。
私は、新人の時「なんでもいいからモノが作りたい」だけの人だった。
分解好きな人は強い
小さいころに、
- おもちゃ
- 自転車
- 家電
- 時計
などを分解した経験がある人は多い。
もちろん壊して怒られることもある。
しかし設計者気質の人は、
「中身を知りたい」
欲求が強い。
これは非常に大きな素質である。
個人的にはこれが最も自分に当てはまるものである。
とにかく、なんでも分解して、怒られた経験がある。
今でもほとんどのモノを分解したくなっている。
だいたいのものはもとに戻せないのだが、、、、
ただこちらも安心していい。
周りのベテランにこの話をすると不思議な目で見られるので、ほとんどの人は、仕事中以外でモノを分解したことはない。
偉人の中には、小学生でエンジンを分解、組立できたひとがいるが、これは天才の部類だろう。
2. 完成まで粘れる人
多くの仕事は同じ素質が必要かもしれない。
そしてとにかく設計は地味である。
華やかに見えるかもしれない。
しかし実際には、
- 確認と修正
- 確認と修正
- また確認と修正
の連続。
しかも、
思った通りにならないことが非常に多い。
しかし、この項目もそんなに気にしなくていい。
なぜなら、会社であれば、周りの環境がサポートしてくれるからである。
設計は多くの場合チーム戦なので、一人で頑張る場面はあまりないといえる。
現実はエラーとの戦い
例えば、
- 干渉する
- 振動する
- 強度不足
- 精度が出ない
- 組めない
など。
問題は必ず起きる。
そこで必要なのが、
“最後まで考え続ける力”
なのである。
「正解がすぐ出ない」が普通
設計には、
明確な正解がない。最適解を決めるだけだ。
だからこそ、
設計の過程である試行錯誤を楽しめる人は強いだろう。
3. 人の立場で考えられる人
意外に思うかもしれない。
しかし設計は、
“人のための仕事”
である。
結局モノは人が使う
究極的にモノは誰かのため、人のために存在する。
だからそれを作る時に使う人の立場で考えられることは才能であるといえる。
つまり、
- 安全か
- 使いやすいか
- メンテしやすいか
- 危なくないか
を考える必要がある。
実はこれも私には備わっていなかったので、経験から学んで鍛えていくことができるだろう。
自分だけでは成立しない
さらに設計者は、
- 加工現場
- 組立
- 品質
- 保全
- ユーザー
など、多くの人と関わる。
つまり、
相手視点を持てる人ほど強い。
「現場で困らないか」を考えられる人
優秀な設計者ほど、
図面より先に、
現場を想像している。
- 工具が入るか
- 組めるか
- 持てるか
- 危なくないか
など。
これが重要。
4. 壊れることに興味を持てる人
機械設計は、
「どう作るか」
だけではない。
実際には、
「どう壊れるか」
を考える仕事でもある。
そして、壊れないものを作るためには、壊す必要があるのだ。
何を言っているんだと思うかもしれないが、
絶対的に「壊れないもの」は存在しないので、
設計では「仕様と想定の範囲内で壊れないもの」を作ることになる。
そうすると、どのくらいの条件、仕様や想定から逸脱すると壊れるかを確認するのだ。
壊れ方には理由がある
例えば、
- 応力集中
- 振動
- 疲労
- 摩耗
- 熱変形
など。
壊れる原因には必ず物理法則がある。
不具合解析が面白い人は向いている
そんな人いるのか?そう思う人もいるだろう。
それは自分が設計にかかわっていない不具合解析を想像したほうがいい。
設計者の中には、
壊れた部品を見ると興奮する人がいる。
なぜなら、
そこに“答え”があるから。
これは非常に設計者向き。
謎解きの探偵モノに近いイメージだろう
モノバージョンの名探偵コナンである。
ちなみに破壊試験の時にうれしそうな設計者を見たことがあるが、
あれはただ壊したいだけにしか見えなかった。
「なぜ壊れた?」を考え続けられる人は強い
機械設計では、
失敗経験が大きな武器になる。
だからこそ、
現象を深く考えられる人は成長しやすい。
これは不具合と向き合っていくうえで、考えることになるので、心配はいらない。
5. 学び続けることが苦にならない人
機械設計というよりも人生は、
一生勉強。
これは本当にそう。
継続研鑽という単語が使われることもある。
なぜか
扱う知識が非常に広いから。
例えば、
- 材料
- 強度
- 熱
- 流体
- 加工
- 電気
- 制御
など。
しかも技術は進歩し続ける。
だから「知識欲」が重要
設計者として強い人ほど、
普段からモノを観察している。
- この構造は面白い
- なぜこの材料なのか
- この機構は賢い
など。
日常が勉強になっている。
そして、学べば学ぶほど、自分が知らないことがまだまだあることを知ることになる。
イメージ的には自分のいる部屋のドアを開けて思い切って外に出てみたら、
無限に続くかと思われる廊下と部屋のドアが見える感覚。
その中の一つの部屋に入ってみると奥には別の扉があり、
その先にまた長い廊下が続いている。
一生かかっても学びきれない、2回目があっても学びきれない
それだけの情報量がある。
それらは、何億人もの先人たちによる千年以上にわたる記録であるといえる
AI時代でも重要なのは“考える力”
最近は、
AIや自動設計技術も進化している。
しかし本当に重要なのは、
- 原理原則
- 現場理解
- 壊れ方理解
である。
つまり、
学び続けられる人は強い。
AIの潜在能力は計り知れないが、現時点で機械設計エンジニアが不要になる状況ではない。
なったとしてもかなり最後のほうになるだろう。
そして、培った応用力で新しい仕事に対応することができる。
むしろAIを利用して、機械設計の付加価値を増幅できる可能性のほうが高い。
「向いていない人」はいるのか
ここまで見ていると、自分で書いておいてなんだが、
結局、学びさえすれば、むしろ誰にでもできるんじゃないかと思うだろう
しかし、NGな項目ももちろんある。
例えば、
- 考えるのが嫌
- 責任を持ちたくない
- モノに興味がない
- 現場が嫌い
これらの場合は、さすがに厳しいかもしれない。
しかし逆に言えば、
完璧な才能というよりもほとんど才能は必要ない。
モノに興味を持って、学び続けられる人であれば、かなり上位の才能の持ち主だろう。
やりたい人は、安心して目指せばいい。
最初からできる人はいない
新人設計者は、
誰でも失敗する。
- 図面ミス
- 強度不足
- 干渉
- 公差ミス
など。
むしろ、
失敗から学べるか
の方が重要。
私のような平凡な設計者は今でも失敗している。
まあ、ごまかすのは多少うまくなった自覚はある。
機械設計の面白さ
機械設計は、
頭の中のアイデアを現実にできる仕事である。
しかも、
- 動く
- 役に立つ
- 社会を支える
モノを作れる。
これは非常に面白い。
まあ、正直ほとんどの時間はつらいなぁ、やめようかなぁと思ってしまう。
しかし、ときにたまにではあるが、やっぱりやめられないなと思うこともある。
まとめ
機械設計エンジニアに向いている人の特徴5選。
- モノの仕組みに興味を持てる
- 粘り強く考え続けられる
- 人の立場で考えられる
- 壊れ方に興味を持てる
- 学び続けられる
もちろん、
最初から全部できる必要はない。
しかし、
「なぜ?」
を考える習慣がある人は、
設計者として大きく成長できる可能性がある。
機械設計とは、
単なる図面作業ではない。
“現実世界で成立するモノ”
を作り出す仕事なのである。