
- 作業難易度 :★★(部品落下に注意)
- 事故時の危険度:★★★(エンジンが冷えていることを確認すること)
- 体感度 :★★★(症状は改善したが完治せず)
- 作業時間目安 :約30分
- 予算 :約3,000円(部品代)
- メンテ周期 :50000~100000km(徐々に劣化するため気づけない)
BMW E90のエンジンストール原因を探る
BMW E90 320i(N46)で発生したアイドリング不調とエンジンストール。
前回はカムシャフトセンサーを交換したものの症状は改善しなかった。
次に疑ったのがPCVバルブ(ブローバイガス還元バルブ)である。
PCVバルブのダイヤフラム破損はBMWでは比較的よく知られた故障で、二次エア吸入によるアイドリング不調やエンジンストールを引き起こすことがある。
実際に交換した結果、アイドリングの不安定さは軽減した。
しかし完全解決には至らず、最終的には別の原因が存在していたことが判明する。
今回はPCVバルブを交換した理由と、その結果についてまとめてみたい。
PCVバルブを疑った理由
カムシャフトセンサーを交換したものの、アイドリング不調やエンジンストールの症状は改善しなかった。
そこで次に疑ったのがPCVバルブである。
BMWのN46エンジンでは、PCVバルブ内部のダイヤフラムが経年劣化で破損し、吸気系に二次エアを吸い込んでしまう事例が知られている。
二次エア吸入とは、エアフロメーターやスロットルを通らない空気がエンジンへ流入する状態のことだ。
エンジン制御は本来の吸入空気量を前提に燃料を噴射するため、想定外の空気が混入すると混合気が薄くなり、アイドリング不調やエンジンストールの原因となる。
今回の症状は、
- アイドリング回転数のばらつき
- 停車時のエンジンストール
- 暖機後に症状が発生しやすい
というものであり、PCVバルブ不良による二次エア吸入とも一致していた。
また、PCVバルブは比較的安価で交換難易度も高くない。
そのため、原因切り分けの一環として交換してみることにした。
PCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブとは何か

では、そもそもPCVバルブって何だろうというところからスタートだが、ざっくりと以下にまとめてみた。
- PCVバルブとはクランクケース内圧力を適切に保つ弁
- PCVとはブローバイガスをホースで吸気ラインに戻し、再燃焼させるシステム
- ブローバイガスとは未燃焼ガスや燃焼ガス、気化したオイルなどが含まれる
- 未燃焼ガス、燃焼ガスは圧縮行程で爆発行程でシリンダーから漏れてくる
- ブローバイガスはクランクケース内にとどまり圧力を高めてしまうので適宜抜く必要がある
- ブローバイガスの大気開放は環境的、法律的にNGのため、再燃焼させて処理する
PCVバルブとPCVシステムを端的に書くと以上のようになる
しかし、さらに考えてみると以下の疑問が残る。
- なんでPCVバルブ(クランク内圧力調整)が必要なのか
- ダイヤフラム構造だが、どのような動きで、どのように圧力調整をするのか
- PCVバルブの破損がエンジンストールの原因となり得るのか
PCVバルブとは何かという疑問と興味がわいてきたのでもうちょっと深く考えてみたいと思う。
PCVバルブ破損がエンジン不調につながる理由
PCVバルブの役割は圧力調整とオイルトラップ、故障モードはゴム膜(ダイヤフラム)の亀裂である。
一見すると走行におおきな影響を与えるような状況に感じない。
しかしブローバイガスは吸気流路に戻されるということから、PCVバルブからの空気漏れは、二次エア吸入となり、エンジン不調の原因となり得る。
また、圧力が抜けることにより、バルブの動きが悪くなり、内部圧力の調整がうまくいかなくなるという側面もある。
PCVバルブの亀裂から、スロットルバルブより下流で空気を吸い込むため、DMEが認識していない空気がエンジンへ流入する。
その結果、混合気がリーン方向にずれ、アイドリング不調やエンジンストールを引き起こす。
実際にPCVバルブを点検

PCVバルブを点検するにはPCVバルブキャップを外して、ダイアフラムを確認するしかない。
交換手順については、後ほど書くが、この時キャップが破損することがあるので、基本的には交換が前提となる。
今回の場合は、ダイアフラムの動作部分に亀裂が入っていた。シリコンゴムの劣化が原因とみられる。
実際に取り外してみると、ゴムが劣化していて、ダイアフラム周囲部に多くの亀裂を確認できた。
本来であれば完全に密閉されているはずだが、この状態では吸気側から空気を吸い込む可能性が高い。
少なくとも正常な状態ではないことは明らかだった。
この状態で密閉度を確保することは難しいだろう。
ゴム材料であることや設置環境を考えると、経年劣化は避けられない。
実際に今回も亀裂が発生しており、個人的には定期的な点検対象として考えている。
PCVバルブ交換手順
- エアコンフィルター手前にあるケーブルライナーをずらす
- PCVバルブのキャップ周囲の爪4か所を外す
- PCVバルブ(ダイヤフラム)を交換する
- キャップを嵌める(新品交換推奨)
まずは邪魔になるケーブルライナーをずらしておこう。
エンジンヘッドカバー天面にあるUFOのような突起がPCVバルブである。
このPCVバルブキャップは周囲4点を爪構造で固定されている。
これを外し、オレンジ色のPCVバルブのダイアフラムを交換できる。

この時、経年劣化によりキャップは割れるので、こちらも同時交換しよう。

中身はブローバイガスのオイルやらでドロドロなので掃除しておくとよいだろう。
ダイアフラムを交換したら、キャップを嵌める
キャップの嵌め合いが緩いとエア漏れにつながり症状が改善しないので、爪4か所が確実に嵌まったことを確認する。
PCVバルブ交換後の変化
交換後はアイドリングのばらつきが減少し、エンジンストールの発生頻度も下がった。
そのため当初はPCVバルブが主原因だと思った。
しかし症状は完全には消えず、しばらくすると再発した。
結果として主原因はクランクシャフトセンサーだったが、PCVバルブの劣化も症状を悪化させる一因だった可能性は高い。
今回の交換によって二次エア吸入の可能性を排除できたことは、原因究明の上で大きな前進だった。
アイドリング不調、オイル消費量増、燃費悪化、白煙、アイドリング時の不快な振動、エンジンストールなどの症状で悩んでいる方は一度見てみるとよいだろう。
今回はここまでとする。本記事がステキなBMWライフの一助となれば幸いである。それではまた。
まとめ
- PCVバルブ劣化は二次エア吸入によるアイドリング不調の原因になる
- BMW N46では点検価値が高い
- 今回は症状改善を確認できた
- ただし主原因はクランクシャフトセンサーだった
- 原因ではない部品を一つずつ除外することも故障診断では重要


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