ベルト交換で腕時計のイメージを変える
こんにちは、今日も元気にメンテナンスしていこう!
今回はSEIKOモンスターのベルト交換について書いていく。
SEIKOのモンスターといえば、あのロレックスのサブマリーナーとは似ても似つかない独自のデザインと圧倒的な塊感が特徴のダイバーズウォッチだ。
ダイバーズウォッチといえば各社からリリースされているが、そのほとんどがサブマリーナのデザインにとらわれているといっていい。
それだけ、完成されたデザインであると同時に、ダイバーズウォッチとはサブマリーナの代名詞であるといって過言ではない。
そのくらい、多くの人の心に沁みついている思い込みである。
例にもれずSEIKOのダイバーズウォッチでさえ、サブマリーナと見間違えそうなモデルが多く存在する。
そんな中で、ひときわ異彩を放っているダイバーズウォッチがこのモンスターである。
もう、一回サブマリーナを忘れようぜという思いが伝わってくるようだ。
実に勢いがあって心地よいデザインであると思う。
そして価格は5万円あれば入手可能と実に良心的である。
SEIKOのダイバー系の多くはセイコー5スポーツの一種であるはずなのだが、他のSEIKO5のモデルとは比較にならないくらいの大人気である。
SEIKO腕時計あるあるで文字盤に「5」やら「X」が表示されると人気がなくなるのはとても不思議な現象である。
そもそもは、SEIKO5の「5」は5つの機能を備えたことを誇示するマークであったはずなのだ。
防水機能、耐衝撃機能、自動巻き機能、日付表示機能、曜日表示機能の5つだ。
それなのにいつの間にか「5=廉価品」のイメージすらついてしまった、実に悲しい話である。
さらに言うなら「X」はプロスペックスの象徴マークであるにもかかわらずもの凄い不人気さである。
それはそれとして、ベルトに話を戻すとダイバーズウォッチといえばウレタンベルトである。
ウレタンベルトの特徴は耐水であることと軽量であることが挙げられる。
また、ベルトの付け根の波打ってる部分が伸縮することで、ウェットスーツが水を含んで膨張しても追従できるようになっている。
要するにダイバーズウォッチは基本的にウレタンベルトであるべきと考えている。
しかしながら、ダイバーズウォッチとはいってもタウンユースや日常使いする人が大半かと思うので、ウレタンベルトは少しカジュアル感が強い。
ただでさえスポーティーなダイバーズウォッチにカジュアルなウレタンベルトがついているのだ。
もうこのカジュアル感はどうしようもない。
さらに、毎回のバックルのつけ外しが面倒であるという弱点もある。
そこで、ステンレスベルトに変更して、イメチェンすると同時にワンタッチバックルとすることで、使い勝手と高級感の向上を狙おうという企画である。
ステンレスベルトを準備する
セイコー SEIKO 200mダイバーズ ウォッチ モンスターシリーズ(SKX779・SKX781)用 替えメタルバンド
というわけで、早速、SEIKOモンスターの純正のステンレスベルト取り寄せてみた。
この価格帯の時計のステンレスベルトは安っぽさが隠せないのが通常である。
しかし、なぜかモンスターのベルトだけは、ありえないコストパフォーマンスを感じる。
私の知る限りの7S系のムーブメントを積んだ時計の中で、最もコストパフォーマンスが高いベルトであると思う。
ボーイシリーズのジュビリーベルトも付け根の部分は板金の曲げ加工品でできている。
これだけのステンレス無垢ベルトが数千円で買えるとは驚きだ。
強いて言えばモンスターのケースデザイン的に弓カンが必要ないことがコスト低減に大きく影響していると推測する。
弓カンがないことで、コストを削減することができる。
専用弓カンのついたステンレス無垢ベルトは、SEIKOならば1.5~3万円程度が通常である。
しかしながら、低コストステンレスベルトによくあるすべてのコマが同形状のベルトとは一線を画す。
モンスターのステンレスベルトは時計側から徐々に細く薄くなっていることがわかる。
ここまでやって、このコストパフォーマンスは世界中でSEIKOにしかできないだろう。
コマの作りも表面処理を除けば、上位機種と比較しても大きな違いは見受けられない。
廉価品にありがちなチャラチャラ感もあまり感じない。
あえて言うならば、ボーイ同様バックル周囲のチープさは否めないが、それは贅沢というものだ。
構造的には1万円以上してもおかしくないとさえ感じる。
むしろそのうち値上げするのではないだろうか。
そう思っていたら、やや値上げしたようであるが、まだまだリーズナブルであると感じる。
バックル根本には、折込エクステンションもあり、まじめにダイバー規格に適合する構造となっている。
過剰な引っ張りが加わった場合はここが開いて、力を逃がすことができる構造だ。
ウレタンベルトにおいては、付け根の波打ってる部分が担っている役割である。
バックルの不意な脱落を防ぐ、ダブルロック機構もダイバーズウォッチに必要な構造だ。
ここまでやってこのコストパフォーマンスは驚愕に値する。
高級品のバックルと廉価品のバックルを見分ける部分の一つがこの3つ折れ部分だ。
ここにプレス板金が使われているのが廉価品の場合が多い。
対して上位機種には、ブリッジ状に中抜きされ、ソリッド感のあるものが多い。
特に使っていて意識する部分ではないので、このベルトが素晴らしいものであることは疑いようがない。
それでは、ステンレスベルトの品質も確認できたので、実際に付け替え作業を紹介しよう。
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広告取り付けされているウレタンベルトを取り外す
ステンレスベルトの観察はこの程度にして、いよいよベルトの交換をしていこう。
時計のベルトの交換は店に頼むこともできるが、簡単なので一度はやってみると面白い。
ベルト外しを使用してベルトのバネ棒を抜いていく。
特に注意する項目はない。実に簡単な作業だ。
あえて言うなら、ベルトを外した時に、バネ棒を飛ばしてしまわないようにするくらいか。
写真のベルト付け根部分に穴が開いているので、そこを押し込むとバネ棒が外れる。
SEIKOのダイバーモデルは、ほぼすべてこの構造となっている。
ベルトが破損したときの交換作業が前提となっている構造といえる。
余談であるが、SEIKOのダイバーズウォッチはバネ棒が通常のものよりも太くなっている。
これもまじめにダイバーズウォッチの規格を満足するために必要な構造だ。
ダイバーズウォッチのベルトは引っ張り力を受ける前提で設計されている。
時計からベルトが取れた状態。
特に問題はないように見える。
ベルト取り付け部(ラグ)は、皮脂や埃などの汚れがたまりやすい場所なので、この機会に清掃しておくとよい。
布でふくだけでもだいぶきれいになる。
気になる人は綿棒か爪楊枝あたりで清掃できるだろう。
磨きこむならステンレス研磨剤を含ませた布で磨きこむことになるが、かなり大変である。
やはり、このSEIKOモンスターというモデルはケースとベゼルが実に特徴的である。
このデザインは、個性的で他に似ているモデルがないので、所有する喜びを感じることができるだろう。
モンスターという名称も実は正式名称ではなく、正面から見たときにモンスターが口を開けているように見えるとのことである。
モンスターの中でもインデックスが三角のものは「シャークトゥース」と呼ばれていて人気がある。
本機は7S系ムーブメントが積まれているが、「シャークトゥース」を含めた後期型は4R系ムーブメントで手巻き機能が追加されている。
別記事で書くが、本機も4R系ムーブメント(NH36)に換装が可能である。
裏蓋の部分。SEIKOダイバーズウォッチの特徴である波のマークがついている。
時計を外すと腕にこのマークが残っていることが多い。
時計の重量を考えると仕方ないことではある。
このダイバーケースをこの価格で実現するセイコーに感謝したい。
せっかくなので、ここに汚れがたまってる場合は清掃しておこう。
ウレタンベルトについていたバネ棒を取り外し、ステンレスベルトに入れ替えてベルトを時計に取り付ける。
バネ棒が変形、破損している場合は新品に交換する。以上で交換は完了だ。
外すよりは、取り付けのほうが比較的難しいが、特に特筆すべきことはない。
実に簡単な作業である。当たり前であるが、時計にぴったりのベルトラグ形状である。
ステンレスベルトのコマ調整
初心者が最も謎に思っているのは、やはりこれだろう。
私も最初はステンレスベルトのコマ調整ができないので、わざわざお店に持って行ってお願いしたこともあった。
だがこれも簡単な工具があれば、すぐに終わる作業である。
他にも時計のメンテナンスに必要な工具を別記事にまとめたので、興味のある方は参照していただければと思う。
ベルトの裏側を見ると小さく矢印が書いてあるのが見える。
「ここからピンを抜け」という意味で実に親切である。
ここをゆっくりと押し込むことで、ベルトコマを連結しているピンが外れる。
このコマを取り外すことで、腕周りの大まかな調整が可能となる。
フルコマ状態で20cm近くはあるだろうから、よほどのことがない限り、長さが足りないということはないだろう。
最後の微調整はバックル部分で行えるので、やや大きめに残しておいて大丈夫だ。
よく言われるのは、手の指が1~2本くらい腕との隙間に入るくらいといわれている。
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ステンレスベルトのコマ調整は、通常こんな不思議な工具でピンを抜いていく。
ハンマーでコンコンとピンを打ち抜く方法もあるが、こちらのほうが静かで安全である。
ちなみにこの工具は、2,000円ぐらいのステンレスベルトを買ったときにおまけでついてきたものだ。
工作精度は最悪だが、使用することはできる。
実に便利であるので、一つ持っておくと楽しめるだろう。
ぐいぐいと押し込んでいくと、このようにピンが抜ける。
よく見ると工具の先端にはストッパとなるリング状の部品がついている。
これを紛失しないように注意しよう。工具側かコマの中に残っているはずだ。
取り付ける際は、逆の手順でピンを入れてコマ調整は終了だ。
最後の微調整はバックルのバネ棒でできるので、こちらも併せて調整していこう。
これで、ステンレスベルトに交換完了である。
いまさらながらだが、オレンジモンスターにはブラックのウレタンベルトのほうがかっこいい気もする。
しかし、今回は実用性重視なので気にしないことにする。
腕時計においては、本体以上にベルトの面積が大きいので、ベルト交換で印象を大きく変えることができるのが魅力である。
ベルト交換については、別途記載したものもあるので、時間のある時にでも見ていただければ、幸いである。
一見難しく感じるベルト交換と調整も一度やってみればその簡単さに驚くはずだ。
大抵の時計屋さんでも無料で対応してくれるところが多いだろう。
イメチェンや気分転換に時計のベルトを交換してみよう。
新しい時計の魅力が引き出せるはずだ。
もうちょっと簡単にベルト交換したい場合は、ナイロンベルトをお勧めする。
色とりどりのカラーとバネ棒を外さずにベルト交換をすることができる。
今回は以上である。
別記事ではオレンジモンスターのムーブメント換装を書いたので併せてご覧いただければ幸いである。
今後もメンテナンス情報について書いていく。
それではまた。
まとめ
- ダイバーズウォッチにはウレタンベルトが似合う
- ステンレスベルトのバックルは着脱が容易
- SEIKOモンスターのステンレスベルトはコスパよし
- SEIKOダイバーは意外に簡単にベルトが交換できる
- ナイロンベルトでより自由な組み合わせを楽しめる
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