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G-SHOCK新旧スピードモデル比較DW-5600C/E

新旧スピードモデルほぼ別物、ベゼルも互換性なし

こんにちは、今日も元気にメンテナンスしていこう!

今回はG-SHOCKの代表的なモデルであるDW-5600。

その新旧の違いを比較してみる。

スピードモデルといわれるDW-5600は大きく分けて2種類である。

  • 新型:DW-5600E 
  • 旧型:DW-5600C

型名にある「DW」とはソーラーやブルートゥース、WiFiなど付加機能なしのベースモデルであることを示している。

見た目がほぼ一緒であるが、付加機能を付けた派生が多いのもこのモデルの特徴だ。

全モデルを網羅するのは別のサイトに任せるとして、今回はこの新旧モデルの比較を行う。

それにしても25年以上にわたり同等モデルを作り続けるとは、カシオの対応は驚くべきものだ。

比較結果の結論として、新旧DW-5600は、見た目はほぼ一緒なのに、中身はまったくの別物であった。

ベゼルの流用も不可といっていいレベルでサイズが異なる。

歴史を紐解くと好きな人には常識かもしれないが、G-SHOCKというブランドそのものは1983年から登場している。

しかしその時代は、まだ薄型で小型の腕時計が人気であった時代。

そもそも腕時計は、眼鏡や宝石などと同列に大事に扱われるようなものである。

「落としても壊れない時計」というコンセプトと大きいすぎるG-SHOCKは当時の市場には理解されなかった。

そのため、ブレイクは1990年代まで待つことになる。つまりは、約10年間見向きもされなかったことになる。

時代がG-SHOCKの良さに追い付くまでに、実に多くの時間がかかっている。

ブレイクのきっかけは間違いなくCMと映画である。

DW-5600は、1994年映画「スピード」でキアヌリーブスが着用していたモデルでもある。

その際に日本で広く知られることとなったモデルであるため、通称スピードモデルとも呼ばれる。

犯人を追い詰め銃を構えたキアヌが「What do you do?」というあのシーンだ。

その腕には、しっかりとG-SHOCK DW-5600が身につけられている。

一方で、世代の方はこちらも記憶にあるかもしれないが、アイスホッケーのパックの代わりにG-SHOCKを打ち出すという衝撃的なCMだ。

技術陣からすれば、どう考えてもそんなCMは打てるものではない。

実際のところ、G-SHOCKの技術陣はそのCMを知らなかったようだ。

当然のように過剰広告ではないかという嫌疑がかけられたため、実際に検証されたという物語がある。

結果としては、実際にアイスホッケー選手の打ち出したG-SHOCKは稼働を続けていた。

そのエピソードそのものが最大の広告となりブレイクにつながった。

私の思う限り本当のところは運がよかったのであると思うが、同時にそれもまた実力である。

まずは比較用の新品を買ってみた

何はともあれ実物がなくては始まらない。

そこで、これがポチッた新品のDW-5600Eだ。

外箱には防水20BERであること、耐衝撃であること、1983年からG-SHOCKを作り続けてる旨が書いてある。

細かいが20BERは圧力を示しており、200mは水深を示している。

そして水深200mの水圧はおおよそ20BERである。

じゃあ何が違うんだよと言いたいところだが、水深200mを保証するほうが難しい。

実際に水深200mでの圧力は20BERでない可能性があるからだ。

通常の使用においては絶対に必要にならない過剰スペックであるので消費者が気にする必要はない。

さらに確かめる手段もないし、保証を求めることもできないので書いてあるだけと認識しよう。

蛇足だかあのiPhoneですら、防水機能は謳っていても水没に対しての保証はしてない。

iPhoneについては製品のサイトを隅々まで見るとちゃんと書いてある。

そのため製品の防水機能を過信してはいけない。

水が入りにくいだけと考えておいてちょうどいいくらいだ。

そのため、高温側に温度変化するお風呂で着用するなどもってのほかだ。

製品開発において、お風呂は想定されていないだろうし、ましてや保証もされていない。

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いざ新品G-SHOCK開封

細かいことはさておき、現行品の確認をしていこう。

箱を開けると6角形の金属の箱と金属っぽいカードが出てくる。

そして金属っぽいカードではあるが金属ではない。

四隅に書かれているネジがY字溝となっていて実にマニアックだ。

個人的にはこのSHOCK RESISTのマークがたまらない。

なんと立派な箱であろうか。この箱だけで1,000円くらいかかっているのではないか。

さすがカシオスタンダードを作っている会社だ。大量生産の技術に長けている。

見るからに自信を感じるパッケージだ。

何やら書類も入っているが、一般消費者には関係ない。

丁寧にスポンジに包まれている。なんともG-SHOCKっぽい梱包である。

確かに自慢のショックレジストも搬送中に衝撃で傷がついたら笑えない。

確実に保護できる形状となっている。

新品っぽい傷防止のビニールに包まれている。

これが、DW-5600E スピードモデルの現行品だ。

ブラックアウトモデルであるので、反転液晶で印刷や墨入れは排除されているが、当然通常モデルも存在する。

とにかくかっこいいと思い、せっかく買うのならとブラックアウトモデルを選択した。他ファッションとの相性も良い。

新旧の見た目でまず違うのが裏蓋。新型はパネルバック式のねじ留め構造となっている。

当然ながら、耐衝撃と防水のスペックは満たせる。

しかしながら、耐久性と信頼性いう面で構造的には、金属ケース+スクリューバック式に軍配が上がる。

それは潜水を前提としたモデルのフロッグマンが、シリーズを通して金属ケース+スクリューバック式を採用していることからもわかる。

なぜかといえば固定部分の安心感である。

パネルバック式は見てのとおり、ネジ4点固定である。ネジとネジの間はわずかながら防水パッキンのつぶしが甘くなる。

そして、ネジは樹脂のケースに固定されていて、樹脂の変形により長期的にみてネジが少しだけ緩む。

パネルバック式は、全体の軽量化と薄型化、部品コストの削減と組立作業の単純化など多くのメリットがある。

それに対しスクリューバックはケースの全周がネジとなっていて、均等に防水パッキンに圧力がかけられる。

ケースも必然的に金属とする必要がある。実際に海で使用される可能性のあるモデルには外せない。

そのため、どうしても大きく、重く、高価な時計となってしまうが、信頼性と耐久性ついてはより高いものが作れる。

個人的に時計についていえばスクリューバック推しである。

私がG-SHOCKを設計するのであれば、この条件を譲ることはない。あとはビジネス的な判断となる。

届いたばっかりだがさっそく分解してみよう

新品をばらすのは気が引けるが、勉強代と思って作業する。

まずはベルトを外してしまおう。ベルト付け根のラグのあたりをベルト外しでバネ棒をちぢめて外す。ここは通常の時計と同様の構造だ。

ベルトが外れた状態。ここからわかるのは、ケースが樹脂が採用されているということだ。

金属とゴムを交互に併せるという当初のコンセプトを捨ててまで、樹脂ケースを採用している。

これはコスト低減と軽量化のためと推測する。

特に腕の先端に付ける腕時計の軽量化はその数字以上に効果を体感できる。

つまり、このモデルについていえば最適解であるといえる。

4角の留めネジを外すことでベゼルケースを外すことができる。

樹脂ケースであるのでネジはタッピングネジに変更されている。

旧型と比較してネジの太さも一回り大きい。タッピング対応と同時にネジ折れ対策であることは想像に難くない。

樹脂ケースを用いたことでネジの固着もなくなっている。

ベゼルケースを外した状態。マニアの方々は、ベゼルケースのG-SHOCKの文字部分に段差があるかどうかで新旧を見分けたりするらしい。

旧型には段差がないとのこと。個人的には新型のベゼルデザインのほうが、立体感があっていい。

裏面はこんな感じ。特に気づき点はない。

やはり新品なので汚れもなくきれいである。

ここで、同じような状態となった新旧のスピードモデルを並べてみた。

だいぶ感じが違うが、反転液晶とブラックアウトした文字盤はブラックアウトモデルだからである。

そのため、実際にはケース材質とボタンメッキ色が異なる。

あと細かいが、文字盤から一段下がった階段形状の形とラグと呼ばれるベルト取り付け部が異なる。

ケースは樹脂になった分だけ、強度確保のためか新型が大きく作られている。

裏蓋から見ると別物に見える。旧型がスクリューバック式であるのに対して、新型はパネルバック式である。

特にこれも通常の使用で影響することはない。どっちでもいいと思う。

新型ベゼルを旧型ケースに乗せてみる

まあ要するに、これがやりたかったのである。

旧型DW-5600Cのスクリューバックケースに新型DW-5600Eのベゼルケースを取り付けして、レストアを試みる。

ベゼルケースが上下逆なのは、仮取り付けであるのでご愛敬。

取り付けた感じとしては、明らかに文字盤からベゼルケースが浮いている。

そして、裏側の様子。

新型ケースのほうが一回りサイズが大きいので、旧型ケースに取り付けるとぶかぶかである。

旧型ケースのラグ根本の絞りは、ダイキャストの形状を保つためであろうが、構造的には意味不明である。

フィッティング結果としては、脱落やボタン操作の阻害はないので、取り付けは可能だが、違和感の大きな状態となる。

ケースを並べて横から見てみる。うーん似てはいるが、やはりまったくの別物といっていい。

外観ではないとはいえ旧型のケースの仕上げはひどすぎる。

偽物じゃないのか?と疑うレベルだ。金型の品質も老朽化のせいか、くたびれているように見える。

横ラグ側から並べてみた感じ。やはり新型ケースは形状が洗練されている。

これはコンピューター製図が普及した結果と考えられる。

コンピューターを使った設計では曲線の取り扱いが難しい。

曲線は品質のチェックも難しい。結果としてまじめに作るほど直線的になっていく。

さらい言えば、まじめに曲線を取り扱うともの凄いコストがかかる。

新旧ケースの違いを確認

旧型DW-5600Cと新型DW-5600Eとのケースの比較結果を下記にまとめてみた。

  • 新型のほうが薄い
  • 新型のほうが幅と高さが大きい。
  • 新型のほうが文字盤面からのボタン位置は遠い。
  • 新型のほうがネジ穴ピッチが広い。
  • 新型のほうがベルト取り付け幅(ラグ幅)が狭い。
  • 各寸法ともに0.5~1.0mm程度は違う。

大きな相違点ではベルトの取り付け幅(ラグ幅)の違いだ。

新型が16mm幅で旧型が18mm幅。

ナイロンベルトなどのベルトアジャスターを検討する際は注意しよう。

新型のケースに比べて、旧型のケースは構造上理解できない箇所が多い。

ケース形状を見る限り、新旧スピードモデルで似ているのは外観デザインだけといったところだ。

何せケース外形寸法や材質、ケース防水方式、モジュールまで違うのだから、むしろ同じデザインで出来上がっていることのほうが不思議なくらいだ。

これらの構造を見るからに旧型(DW-5600C)は多くの問題を抱えていたようだ。

少なくとも10年以上使用されることを想定して作られてはいない。

対してさすがは新型。旧型よりも軽く、薄く形状が洗練されている。

付け心地も新型モデルのほうがよい。

上記結果から、現時点であえて旧モデルをレストアする理由が見つからない。

素直に新型DW-5600Eを購入しよう

新型のベゼルケースは旧型のケースに取り付けはできるがブカブカであることが分かった。

およそ、文字盤から一段下がった部分とボタン部分が干渉しているようだ。ベゼル側の対応する部分を削り取ることでフィッティングが向上する。

しかし、絶対的に寸法があっていないので、化粧ネジでの固定は不可能だ。

旧型のレストアに新型のケース流用では満足のいく結果にはならない。

気を取り直して別案を考えることとする。

幾多もの人が同様のチャレンジをして砕けていったに違いない。

同じ悲しみを生み出さないためにも、ここに記録しておく。

ちなみにこれは、ネットに転がっていたベゼルの互換表である。

これを見るからにはDW-5600には似たようなベゼルが、4種類は存在するようだ。

当然今回欲しいのは一番上のものである。ちなみにデッドストック品は驚くべき価格で取引されている。

デッドステック品ですら、加水分解していないという保証はないというのに。

ちなみに加水分解は外観でわからないこともある。

無数のマイクロクラックが内部で発生していることもあるので、旧型ベゼル購入の際は覚悟しよう。

旧型(DW-5600C)用ベゼルについては、メーカの再販も行われていないようなので、諦めて新型DW-5600Eを購入することを推奨する。

別に旧型のほうが優れているわけではないし、こだわる理由はあまりない。

しかしながら、諦めきれない人達のためにもう少し検証を続けていく。

代替案としては下記だ。

  • 現行品のベゼルを移植する → 今回難しいことを確認
  • 現行品のベゼルを追加工し移植する → 望み薄い
  • 社外品のベゼルを探す → なさそう
  • 3Dプリンタで成形する →めんどくさいがいけそう
  • 切削加工で削り出す →高そう

まあ、こんなところだろう。できたものから紹介していくので、期待しないで待っていてほしい。

それではまた。

まとめ

  1. 新型スピードモデルDW-5600Eの完成度は高い
  2. 新型と旧型の共通点は外観のみ
  3. 新型のベゼルを旧型に流用することは難しい
  4. 新型の購入が最適解
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