オーバーホール依頼機種:SARC013 cal.6R21
こんにちは、今日も元気にメンテナンスしていこう!
今回はプレザージュをセイコーにオーバーホール依頼してみたので、記録しておく。
依頼品は、SARC013 6R21を搭載するセイコーの機械式時計だ。
私がメインで使用している時計で、クラシックなケースデザインとスポーティーな感じのバランスがお気に入りの機種である。
フェイスの大きさやベルトの太さは、現代的であるが、風防がハードレックスである以外は、いい感じのバランスである。
個人的に日差はあまり気にしないのだが、ノーメンテで7年ほど使用した結果、ものすごいスピードで進む時計となってしまった。
30%の速度アップといったところだろう。さすがの私もこれでは時計として使用できないレベルであると感じた。
分解メンテナンスも考えたが、この症状は油切れというよりは、ヒゲゼンマイの絶望的な不調と判断し、純正オーバーホールを利用するに至った。
他にも、テンプASSYでの部品載せ替えも検討はした。
しかしながら、この6R21というムーブメントが曲者で、6Rムーブメントなのに8振動機なのだ。
通常の6Rムーブメントの6振動機であれば、6R15や4R、7S26などと同等であり、かなりの数が出ているが、8振動テンプとなるととにかく入手が困難である。
そして、純正オーバーホールとはいえ、現行ムーブメントの保守対応はムーブメント交換であるので、頼んでしまったほうが圧倒的に楽であるとの判断だ。
これこそ、現行ムーブメントの強みであるといえる。
言い方を変えれば、現行ムーブメントを分解メンテナンスする価値はあまりないといえる。
申し込みはインターネット経由、梱包箱が届く
セイコーのHPからインターネット経由で修理依頼をすると、このような送付セットが送られてくる。
これを使用して、メンテナンス先へ時計を送付することができる。
一瞬これだけでいけるのかと思うくらい、考えられたパッケージングとなっている。
この辺の梱包設計はさすがSEIKOといったところだろう。
これが真空パックで圧縮された梱包材だ。まるで布団収納袋のようだ。
見方によってははんぺんのようにも見える。
最もそれは、私の食い意地が張っているせいかもしれない。
封を開けると空気を吸い込み、みるみる膨らんでいく。ふわふわである。
やはり高野豆腐のようにも見えてくるから不思議だ。
いくつか梱包材はあるが、まずは外箱を組み立てる。
もっとも、この記事でなくても説明書は付属しているので困ることはない。実に親切である。
箱を組み立てる。何ら難しいことはない。
いい感じの折り目もついている。
膨らんだスポンジを箱の底に入れる。
時計梱包の下敷きにあたるクッションである。
なんかもうスポンジだけで箱の80%は埋まってしまっている。
これで本当に箱を閉じることができるのだろうか。
まあ、ここは心を強く持って梱包を続けよう。
これまたいい感じの厚紙が入っているので時計を巻き付ける。
まあ、これも時計のバックルを留めるだけだ。
付属のビニール袋で時計全体を包む。
擦れ傷、防滴用のビニールであると推測できる。
いろんな理由があるのだろうが、写真のように横向きに置く。
この方向が最も動きを制限できるのだろう。
先ほどの台紙がいい感じにスポンジに食い込むようだ。
そして、2個目のふわふわスポンジを設置。
明らかにオーバーフローしているが気にせずふわふわをつぶしていこう。
グッと押し込んでいこう。
気合で蓋を閉める。しかしながら、このままではふわふわに押し返されるので、まだ油断してはいけない。
まだ、手で押さえておこう。
付属の強力な輪ゴムをXに留めることで蓋を抑え込むことができる。
まあないとは思うが、軽く振ってみて中からカタカタ音がしないことを確認する。
音がするようなら時計が固定できていない。
自動巻きロータの音は問題ない。
梱包した箱を送付用の紙袋に詰める。
袋に封をする。
ワレモノ注意シールを貼って出来上がり。
これらすべて、一括で送付されてくるので、こちらで用意するものは何もない。
この状態でセイコータイムラボと呼ばれる会社に送付する。
主に修理メンテナンスなどのアフターサービスを行うセイコーの関連会社と思われる。
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広告送付から3週間ほどで、修理が完了する。
それでは、到着したらまた次回、、、と言いたいが、もう届いてしまっているので、続きを書いていく。
送付時とほぼ同じような荷姿で届いてきた。小箱の固定がセロハンテープであるのは気になるところではある。
SEIKOと書かれた封筒には修理明細が記載されている。
- 症状:テンプ異常
- 原因:ヒゲゼンマイの磁化
- 対応:ムーブメント交換、パッキン交換
- 対応結果:問題なし
的な内容が書かれていた。
ヒゲゼンマイの磁化程度でここまでの狂いは出ないはずだ。
そもそも私のほうで脱磁機でのある程度の脱磁は試みたはずである。
原因の解析はかなり気を使ったモノとなっているが、ムーブメント交換されているなら問題はない。
まあ、いろいろ思いはあるが、こちらも確認してみよう。
まあ、私の検品は甘々であるので大丈夫だろう。
Xゴムの代わりにセロハンテープに変えられている。
蓋を開けると緩衝材のスポンジが出てきた。まあ、当たり前だ。
送付状態と同じである。
時計が出てきた、これも送付時と同じ感じ。
紙の台紙はなくなっているが、いらなかったようだ。
ムーブメント交換しかしていないのに、なんか外装がきれいになってる気がするのは、簡単なクリーニングを実施してくれたかららしい。
精度も動作も私が見る分には一通り問題なし。
あとは数日使ってみてだが、まずは、満足いく結果となっている。
オーバーホールはしない、ムーブメントごと交換するという考え方に思うところはあるが、これはこれで一つの最適解だと思う。
そもそも、様々な状態の中古品を受け入れて修理することはかなりのコストがかかる。
大げさでなくても新品を作ってしまったほうが簡単なくらいである。
全部品の寸法測定と測定結果の判定を行い、必要に応じて調整、部品交換を行う必要がある。
対して、ムーブメント交換は非常に簡単だ。
どんな状態の時計が来てもやることはほぼ変わらない。
確認するのは外観の傷、汚れ程度で、交換の要否は事前確認されているので問題にならない。
ムーブメントの故障原因を探ったり、分解したりする必要性がなく、個人の技術力の差分が出にくく、管理部品点数が圧倒的に少なくなる。
ユーザーも全部品新品となるため、安心感、満足感がある(はず?)
とはいえ、今後とも長くこの時計とは付き合っていきたい。
今回はここまでとする。今後とも時計情報を書いていくのでよろしく。