機械式時計の動力はゼンマイ
前回、機械式時計とクォーツ時計の精度の差について述べた。
今回は動力の差分について述べる。機械式時計の動力は多くの場合ゼンマイであり、クォーツ時計の動力は多くの場合電池である。
私見ではあるが、 動力についても電池式がゼンマイ式を圧倒している。
機械式のゼンマイを見てみると香箱に収められている。
香箱のネジ穴を上にして、固いものに押さえつけると、ぱかっと香箱が開く。
分解する際にゼンマイが弾けて飛び出すと大変危険なので、十分注意すること。最悪で失明する危険がある。
ぐるぐる巻かれたバネ鋼の帯が収められている。
これがゼンマイバネであり、動力としてはチョロQなどと同様である。
機械式時計では、リューズを介して人力でエネルギーを巻き込み、これが解ける際のエネルギーを利用して時計を駆動している。
ゼンマイ式の駆動時間はせいぜい40〜80時間程度である。特殊なものでも1週間、1ヶ月程度である。
一方電池式は、電池内にある材料の化学反応で発生する電力を動力に使用している。
駆動時間については、1年は軽く駆動し、長いものでは10年駆動を記載しているものもある。
動力にゼンマイ式を選ぶ理由
機能だけに絞ってみてみると、動力にゼンマイ式を選択する合理的理由はない。
ここでゼンマイ式の動力を選択する理由でよく言われることを確認してみよう。
- 「ゼンマイ式は電池交換が必要ないから良い。半永久的に動く」→数年に1度の電池交換よりも毎日巻くゼンマイの方が圧倒的に大変である。毎日使っていれば10年以内にゼンマイが切れる可能性も高い。そもそもオーバーホールなしで10年間毎日駆動は、かなり厳しい条件だ。
- 「電池が手に入らない地域で機械式は必要になる」→電池が手に入らないような地域でなぜ時計が手に入るのか、オーバーホールできるのか、オーバーホールしないにしてもムーブメント交換できるのかなどの疑問が残る。
しかしながら、ゼンマイ式動力を選ぶ非合理的理由が残されている。
- 「10個も20個も時計を持っているようなコレクターにとっては使う時にゼンマイを巻いて使えるから便利」。→止まるからこそ、機械の磨耗を防ぐことができるという側面がある。まあ、5年も経てばオーバーホールの時期が来そうなものであるが、そこは時計好きとしては見えないふりをする部分である。
- 「手巻きでエネルギーをチャージする行為で愛着がわく」というロマンチックな理由もある。やはり、機械式時計を持つ人はロマンチックな人が多い。
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広告まとめ
- リアリストは電池式を好む
- ロマンチストはゼンマイ式を好む