失敗のないデザインとカスタム自由度
腕時計の大人気カテゴリーにダイバーズウォッチがある。ダイバーズウォッチが人気の理由は、その力強く、失敗のないデザインである。分厚く大きなケースは存在感抜群で時計をつけてる感に溢れる。
ロレックスのサブマリーナが作り上げたデザインへのオマージュが基本と言っても過言ではない。
そして、スタンダード化したデザインの一方で、ベルト選択の自由度が高い点も見逃せない。
正統派ならウレタンベルトで決める。機能とコスト最優先のまさに最適解である。
ガチダイバーのイメージから一歩外し、スポーツイメージにシフトさせたいならメタルベルト。3連ベルトならサブマリーナースタイルになる。
NATOベルトならミリタリーテイストに仕上げることができる。ミリタリーのタフさと布のデザイン自由度によって、個性を演出できる。
少しエレガントなイメージでバランスをとるなら、厚めのカーフレザーベルトも選択肢に入る。シャークやスティングレイレザーなどにすれば海のイメージで合わせることができる。
このように失敗しないデザインとカスタムの自由度により、ダイバーズウォッチの人気は底堅いものとなっている。
防水性能だけじゃない、驚きのハイスペックウォッチ
ダイバーズウォッチなのだから、潜水に耐えうる高い防水性能を有しているのはいうに及ばない。しかし、実は防水性能だけではないのがダイバーズウォッチである。ダイバーズウォッチの要求仕様をすごいなーと思う順に、まとめてみた。
- 防水性能(水中稼働、ベゼル操作可能)
- 耐温度衝撃性能(5℃〜40℃水中)
- ベルトの耐引っ張り性能(20kgf)
- 耐衝撃性能
- 耐塩水性能
- 耐磁性能
- 暗所での視認性能
ああそうなんだと見る分にはさらっと見るだけだが、その仕様は、実に驚くべきものである。
もはや一般の時計とは比べ物にならず、業務用の時計だと言える。言い方を変えれば、本当に潜水するプロフェッショナル以外には、全く不要なスペックである。
高い防水性能だけなら密閉ケースにすれば良いだけだ。しかし、なんと水中稼働と水中操作を可能としている。例えば水中のベゼル操作で水が入ってはいけないのだ。これはただの防水を保証するのとは次元が異なる。
意外だったスペックは水中での耐温度衝撃性能の保証だ。水圧がかかった状態で水温が変われば、時計の内部圧力が変化する。
それでも浸水がないことや動作に異常をきたさないことを保証する仕様だ。確かに潜水時は水温が急激に変わる可能性があるが、ここまでやるかというスペックだ。
ベルトの引っ張り仕様ってなんだ?と思ったら、ウェットスーツが水を吸ったり水圧で伸び縮みした際の力を想定している。
メタルベルトは引っ張りで不意に外れないようロックレバーが付いているものもある。思わず大量生産品にこのスペックを適用するのかと感じるくらいだ。
まだまだ、これだけではない、耐塩水性能や耐衝撃に耐磁性能、暗所での視認性能まで保証している。まるでテレビショッピングのような豪華仕様の時計だ。
時計売り場で、あまりここまでのスペックを表記しているのを見ない。
ありきたりのデザインの中に隠された驚きのスペックだ。きっと開発技術者が泣いているので、メーカさんはもっと宣伝したほうが良い。
その辺をうまくやったのが、あのG−SHOCKである。そして、あまり印象がないかもしれないが、ダイバーズウォッチスペックはスタンダードなG−SHOCKのスペックを軽く上回るものである。
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広告機器の防水は簡単ではない
時計の防水機能など携帯電話と同程度のスペックである認識だったが、まさに別次元のハイスペックであった。
ちなみに携帯電話の防水スペックは「常温の水1mの深さに30分間沈める」のみである。電源もOFF、キー操作も不可、濡れた状態での操作は保証されていないので乾燥してから電源をONにしよう。
他にも防水をうたっている電子機器を幾つか見ているが、かなり怪しいものも多くある。ざっくりとコネクタやスイッチ部の防水は非常に難しいので、大抵ここを観察することで、防水スペックがうかがえる。
そして、往々にしてメーカが自信のない場所には内部に水没判定の水玉シールが貼ってある。
ダイバーズウォッチには当然そのようなシールは貼り付けられていない。
似て非なるダイバールックウォッチ
外観部に「○○m防水」と記載のできるのはダイバーズウォッチのみだ。
同時に「あら?」と感じたのだが、世の中にはやはり、ダイバールックウォッチが存在するので、よくよく確認しよう。
見分け方としては、標記のほかにリューズの構造がある。
時計において最も浸水のリスクが高いのはリューズである。回転部の防水は非常に難しいので、ほとんどの場合、ねじ込み式リューズによる防水構造とせざるをえない。
特にリューズがねじ込み式でないもの、外装にボタンが設置されているものは、本当にダイバースペックの時計か今一度確認しよう。
ダイバーだからこそシンプルなもの
ケースだけで存在感あるダイバーズウォッチだからこそ、可能な限りシンプルなものを選ぼう。というよりもダイバーズウォッチは、必然的にシンプルな時計になる。要求スペックを満たすために、設計者の気持ちを以下にまとめてみた。
- できる限りケースに穴は開けない
- できる限りケースを解放させない
- できる限り内部を壊れないようにする
- 万が一壊れても簡単に修理できるようにする。
すると必然的な最適解は以下となる。
- 穴はリューズ、ガラス、裏蓋のみ
- 自動巻きかソーラー、操作でケース解放できるのはリューズのみ
- ムーブメントから時計以外の機能を排除する
- 塩水が内部に浸水したらムーブメント交換
ダイバーズウォッチの購入を検討する際、量産品で予算が許すならロレックスのサブマリーナが王道である。
しかし、日本にはSEIKOという素晴らしいマニファクチュールブランドがある。そのSEIKOのモデルで有名なのがボーイシリーズやモンスターシリーズである。
まるでダイバールックのような値段でダイバーズウォッチを販売してくれている。一時期は15,000前後で販売されていたことを考えると異常な値段である。
しかも、ムーブメントはセイコー5の信頼ある7Sムーブメントが搭載されている。そして、万が一の塩水の浸水や故障の際には、ムーブメント交換で対応されるが、ムーブメントの価格はわずか6,000円程度である。
防水が自慢のダイバーズではあるが、防水の要である場所はゴムとグリスである。どちらも経年で劣化する。防水性能を維持するためには定期的なメンテナンスは欠かせないことを覚えておこう。
まとめ
- 力強くかっこいい洗練されたデザイン。
- 防水性能以外にも圧倒的な耐環境性能
- シンプルゆえに修理、メンテナンスは容易