こんにちは、今回は56キングセイコーの組み立てに入る。組み立ては分解と逆の手順なので、説明は少ないが難易度は組み立てのほうが高い。
超音波洗浄してすっきりとしたプレートに、オイルを注油してアンクルを設置する。
アンクル抑えを取り付ける。アンクルが首振りすることを確認してからネジを締め付けること。アンクルを設置したらガンギ車を設置する。
3番車を設置する。
テンプをプレートに設置する。テンプがスムーズに首振りすることを確認してから組み付ける。
テンプ取り付けタイミングは、もう少し後でも構わないが、私の場合は、邪魔するものがないように下側から順に組み付けていくことにしている。
1番車を設置2番車と4番車を設置する。同時に自動巻き機構の歯車も設置できる。この辺の作業性は、さすが新設計といったところだ。
56系の大量生産を成功させた重要ポイントはここ。5軸を同時に抑える押さえ板である。
これが問題なく組付けられる製造技術、生産技術の向上がコストダウンを可能にした重要な点であると感じている。
マーベル以前のスイス製の時計などは、この辺がとてもナーバスである。職人のみが組み立てられた機械式時計であっただろう。
それを56ムーブメントでは、多くの人が短時間に組み立てできるように設計、製作されているのだ。
分解時は表裏逆転して取り付けられていた角穴車を正しい向きに設置。飾り彫りがあるほうが通常は外観側になる。
私は個人的に角穴車という部品が好きである。モデルにより様々な表情を見せてくれるムーブメントの見どころの一つである。こちらの磨きこみが凝っているものは高級機とみてよい。
自動巻き機構のハンマーの回転を伝える歯車を固定する。
日付車側の歯車を設置する。ここまではそう難しくないかもしれない。
日付リングを取り付ける。ここはネジが小さく繊細な作業となるが、根気強く実施しよう。ドライバーの磁気抜きをしておくと作業性が向上する。
何ならセラミックドライバーなどを用いてもよい。クイックチェンジできることを確認する。
曜日表示板を設置、Cリングで固定する。中心のツツカナ上方に見えるレバーを引き上げることで設置完了となる。こちらもクイックチェンジを確認しよう。
まあ、ほとんどの個体が破損しているのであるが。まあ、小さいことは気にしない。いずれ復活方法でも考えることとする。
本品は奇跡の逸品であるので、どちらも問題なく動作する。
あまりに汚い文字盤は、ちょっと汚い文字盤のストックがあったので交換しておく。
ケースに収める。やり方によっては手巻き時計に改造できるが、ここはオートマチックのまま組み上げる。
ハンマーを取り付けする。
スクリューバックを締め付けることで、ムーブメントが固定される。
ステンレスケースであれば、研磨剤で磨きこむことである程度輝きが復活する。研磨剤で消えない傷は深追いする必要はない。
どんなに大事に使っていても傷がつくのだから、ここで消してもしょうがないし、新品のようにきれいなものが欲しいなら、新品を買えばいいからだ。
ここは、汚れや傷さえも楽しむアンティークマインドでメンテナンスを楽しもう。小さいことは気にしない、最小限の努力で最大限の効果を上げよう。
今回も通常使用に問題のない程度に機能の復活ができた。
それではまた。
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