重要部品ファンベルト
作業難易度 :★★★ (トルクレンチ、特殊ビット要)
事故時の危険度:★★★ (火傷に注意)
体感度 :★★★ (振動が少なくなったかもしれない)
作業時間目安 :約30分
予算 :約15,000円(交換部品代)
メンテ周期 :80000~100000km(クラック発生や弾力がなくなったら交換)
注意点 :走行中に破断すると走行不能、予防整備しよう
今日も元気にメンテナンスしていこう。
今回はファンベルト周りの交換だ。
ファンベルトとは、エンジンの回転を利用して、冷却装置であるラジエターファンを回すための伝達ベルトだ。
しかしながら、昨今のラジエターファンの多くは電動式となっているので、ファンベルトで直接ラジエターファンを駆動することは稀だ。
そのため、通常は発電機やクーラーのコンプレッサー、パワステなどの油圧系の圧力保持に使われる。
地味な部品であるが、実に重要な部品である。
エンジン始動時は常に回転していて、エンジン回転数に合わせてファンベルトの回転数も上がっていく。
その結果、無視できない運動エネルギーを持つ部品となる。
しかもこの部品は、ケブラー繊維とゴムでできている。
エンジンルーム内の厳しい環境にさらされるゴム部品のため、劣化は進み気味となる。
わかりやすい劣化としてはゴムが硬化していく、その結果ひび割れなどが発生。
最悪の場合、ファンベルトが断裂し走行不能となるだろう。
そんな重要部品であるために、その状態はこまめにチェックする必要がある。
今回は特に目立った破損はなかったが、走行距離が10万キロに近づいてきたため交換することとした。
作業そのものは工具があれば難しくはないので、エンジンが冷えていることを確認して作業しよう。
本作業については4気筒エンジンのため、その作業難易度は低めだ。
6気筒エンジンの場合はラジエターファンやエアクリーナボックスを外す必要があるらしい。
4気筒エンジンの長所のうちの一つが、エンジンルームの隙間が大きいことによるメンテナンス性の良さだ。
ファンベルト取り外し
それではさっそく作業に移ることとする。
エンジンルームが十分に冷えていることを確認したらボンネットを開けて、カバーを外していこう。
トルクスのタッピングネジ3本で固定されている。
この状態では、まあまあ、エンジンルームは詰まっているようにも見える。
カバーを外すとこんな感じ。
ほんとに広大な空間が広がっている。
2000年以降の車でこんな空間があるものが手に入るとは、実にありがたい限りである。
他記事でも述べたが、この空間が走行性能の改善にも寄与している。
そして、エンジン前面に張り巡らされているのがファンベルトである。
なんかあちこち行ったり来たりして複雑に見えるが、よく見るとプーリーをジグザグに走っているだけである。
そしてこれが今回の交換対象の一つであるファンベルトテンショナーである。
エンジン中央付近の上側に取り付けされている。
その名の通り、ファンベルトの張り具合を一定に調整するものである。
常に取り付け軸に対し、反時計回りに力がかかっていて、ファンベルトをピンと張って外れないようにする役割だ。
劣化でファンベルトが伸びても、これがあるために一定のテンションがかかり、簡単に外れることはない。
ただし、このテンショナーは、素手でどうにかできるようなテンションやトルクではない。
プーリーの中央にあるボルトにソケットレンチをかけて時計回りに回すとテンショナーがずれてベルトを緩めることができる。
この状態でファンベルトを手前側にずらして外すことができる。
ソケットサイズは16mmで対応することができる。
これが最初の作業となる。
無事ファンベルトが外れたら今度はテンショナーを外していく。
いくつか種類があるかもしれないが、本機のものは六角レンチをかけて外すことができた。
特に固着することもなく、案外容易に外すことができた。さすがの整備性である。
続いて、似たようなプーリーがオルタネータの右下に配置されている。
これがアイドラプーリーと呼ばれるものらしい。
オルタネーターとエアコンプレッサープーリーの間に設置されていて、ベルトの設置面積を確保するためのものだろう。
これも16mmのソケットレンチで反時計回りに回すと外すことができる。
クーラントホースとみられるものが邪魔な位置にあるが、破損しないように作業する。
ちなみにオルタネーターは発電機、その下にあるプーリーはクラッチがついているので、クーラーのコンプレッサーと思われる。
これらもガンガン回転されており、交換したい気持ちはあるが価格が合わないため、多くの人は故障時の交換となるだろう。
ファンベルト、テンショナー、アイドラプーリーの3点の取り外しができたので、新品部品と交換していく。
ファンベルト周り新品部品の取り付け
これが新品のテンショナーとアイドラプーリー、写真にはないがファンベルトもセットで購入した。
ゴム部品や樹脂部品はやはり新品が望ましいので、中古品の使用は控えたほうがいだろう。
純正品と少々形が異なるが、小さいことは気にしない。
ただ気になることが1点ある。
そう、この星形の凸ボルトである。
見たことないのだが、こんなレアなボルト。
星形が凹になっているものは多く見るが、まさか凸形状とは驚きだ。
ヘックスローブソケットと呼ばれるビットレンチがあれば外れるようだ。
本部品の場合はE14サイズで対応することができた。
ちなみにテンショナーのほうは16mmサイズのソケットレンチとトルクスT60サイズのレンチがあれば対応可能である。
まずは、新品のテンショナーをエンジンに取り付ける。
こちらは先述したとおり、16mmソケットレンチで取り付け可能だ。
締め付けトルクは25N・mで締め付けた。
特に難しいことはないだろう。
同様にアイドラプーリーを取り付ける。
こちらは先ほどのヘックスローブレンチE14サイズで取り付けした。
締め付けトルクは40N・mで締め付ける。
この状態でファンベルトをプーリーに取りまわして仮取り付けする。
ファンベルトの取り付けは、最初の状態を記録しておくか、部品の説明書にも記載されているため問題ないだろう。
この時にファンベルトがすべてのプーリーの溝にはまっていることを確認すること。
もし外れていれば、エンジンスタートでベルトの破断や事故につながりかねない。きっちりとチェックしよう。
この時、新品のテンショナーには初期位置に固定するためのL字のピンが差し込まれている。
星形の凹みの左下くらいから出ている丸棒がそれだ。
これを抜いて、テンショナーを開放し、ベルトにテンションをかければ作業終了である。
テンショナーL字ピン抜き
作業になれた方なら問題ないだろうが、そのままではピンにテンションがかかっているため抜くことができない。
そのため、トルクスT60レンチを使用して、いい感じに時計回りのトルクをかけながら、ピンを抜いていく。
テンショナーのトルクと同程度のトルクをかけたときにピンは抜けることになる。
テンショナーの固定ピンを抜いて、テンショナーが開放されて、ファンベルトにテンションがかかった状態。
ベルトがビシッと張れていて気持ちがいい。
交換前のファンベルトと比べるとしっとりして柔かい感じがする。
やはり経年劣化でファンベルトが硬化していたようだ。
直観であるが、これは期待できる気がする。
取り外したテンショナーとアイドラプーリーはカラカラとトルク感なく回っている。
抵抗感はないが、このようなハイパワーの機器ではもう少し、しっとりと回るほうが良いだろう。
およそベアリングが摩耗していたと思われる。
ファンベルトが嵌まっていることを再確認したらエンジンスタート。
しばらくアイドリングして異常がないことを確認する。
気のせいかもしれないが、ハンドルから伝わる振動が少なくなっている気がする。
ファンベルトに弾力が戻ったためかと思う。
もっと早くやっておけばよかったシリーズに入るメンテナンスである。
多くメンテナンスが、そう思うほどに気持ち良い結果となる。
今回の作業は、思っていたより簡単に完了した。
しばらく異常がないことを確認しながら走行することになりそうだ。
今回はここまでとする。
引き続きメンテナンス情報を伝えていく。
本記事が楽しいBMWライフの参考になれば幸いである。
まとめ
- ファンベルトは車の走行に必要な重要部品
- ゴム部品の劣化は確実に進んでいる
- ファンベルト新品交換で振動が減った気がする
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