車の基本は走る、曲がる、止まる

過信しないことが重要、車がよくできているだけ

こんにちは、今日も元気にメンテナンスしていこう!

今回は車の基本的なことについて書いていく。

流行ではなく、自分に合った車を選択できているだろうか。

なにをいまさらと思うかもしれないが、何事も基本は大切である。

わかって選ぶのと、知らずに選ぶのとでは、天と地ほどの差がある。

1億総ドライバーといわれて久しい日本国である。

いまや誰もが自動車運転免許を持っていても珍しくないイメージがある。

実際に車を運転しなくても運転免許を持っている人は多い。

加えて運転免許証は写真付きの身分証明書として使う機会があまりに多い。

近年やっとでマイナンバーカードがその代わりに使えるようにはなった。

写真付きの身分証明書は、私の知る限り、免許証とパスポート、マイナンバーカードだけだ。

そんな1億総ドライバーの事実を下支えしているのは、車の開発を支える技術力である。

それぞれ運転が得意や苦手だという思いはあるかもしれないが、ほとんどの人が実際に運転免許を持っている。

つまりは、ほとんどの人が、車を運転できる資格があるということだ。

それは、多くの人に運転ができるように車ができているからだ。

運転1年目の初心者から、70才以上の方まで、「私は運転できる」と思わせるほど、車がよくできている。

大げさに言ってしまえば、自転車のほうが乗るのが難しいくらいである。

重さ1.5tを超えるような鉄の塊を意のままに動かせると過信してしまうようにできているのだ。

驚くことに多くの車は、ほとんどの人間の個体差を吸収できるよう作られているということである。

そのため、プロドライバーで無事故、無違反の方を除き「自分は運転がうまいから大丈夫」などと絶対に思ってはいけない。

誰がどの車に乗っても一定の基準を満たすよう安心、安全に乗れるように作られている。

これこそ技術大国日本を支えている品質であるといえる。

しかし、実際には「より安全な車」や「より運転しやすい車」が存在している。

これは、技術だけでは、ごまかしきれない物理法則もあるということだ。

自分の選ぶ車はどのようなものなのかを今一度考える機会になれば幸いである。

何を基準に車を選ぶか

  1. 見た目が好みの車
  2. ブランドが好みの車
  3. 性能が高い車
  4. 乗車人数が多い車
  5. 流行の車
  6. コストが安い車

結論は身もふたもないが、好きに選べばいいのである。

どれを選んでも大丈夫なようにできており、基準を満たさない車は販売や登録ができない仕組みだからだ。

車に何を求めるかも人によって違うので、直感で選んでも大きく外すことはない。

上のリストを基準に選ぶ分には迷いもしないだろう。

明確にカタログに書いてあるし、一目瞭然からだ。

しかし、次の基準はどうだろう

  1. 乗り心地のいい車
  2. 思い通りに動く車
  3. 乗っていて楽しい車
  4. 限界性能の高い安全な車
  5. いざというとき安全な車

明確にカタログに数値化してない上に、試乗程度ではわからないものが多い。

しかし、設計側からは明確に見えている。

カタログに数値が記載されないから、犠牲にされることが多いだけだ。

特に流行の車では、その傾向が強いように思える。

下記に代表的なコンセプトを並べてみた。

これらは、我々消費者のニーズに合わせて、かなり無理して設計されているコンセプトの車である。

  • 「ハイルーフ+パワースライドドア+軽自動車」コストと居住空間を優先した車である。
  • 「高級大型ミニバン」6人以上という乗車人数と広く豪華な居住空間が人気の車である。
  • 「クロスオーバーSUV」未舗装路も走れそうな雰囲気を感じる車、何やら流行している車である。
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ハイルーフ+パワースライドドア+軽自動車

ひとつづつ見ていこう。

このパターンは、正直驚きが隠せないコンセプトである。

本当にいいのか?と感じている。

いうまでもなく軽自動車の最大の魅力はそのコストの低さである。

それにもにもかかわらず、昨今のモデルの車両価格は、コンパクトカーに引けを取らないものとなっている。

そうなってくると、アドバンテージは自動車税とサイズくらいとなってくる。

その中で、横幅と前後長は規定いっぱいまで拡大されている。

加えてハイルーフにすることで、室内空間の圧迫感を抑える演出をしている。

その結果、横幅よりも高さが大きいのではないかという車も増えている。

そのような車の最大の弱点は重心が高くアンバランスなことである。

それでいて、足回りはしっかりとコスト削減が行われている。

道路のうねりと凹凸のたびに車体は振られ、横風にあおられてまともに走行できなくなる場面もあるのではないだろうか。

それに加えて片側パワースライドドアで、乗降性を優先するため柱(ピラー)を削除したというものまである。

車体の強度バランスと重量バランスとコストバランスをとるために、設計者がどれだけ苦労したかは、想像に難くない。

パワースライドドアはスライド構造とモータ重量と強度確保により飛躍的に重量増となる。

コストとサイズが限られている軽自動車でそんなことをすれば、車体価格に跳ね返る。

さらには、重心が高く走行バランスの悪い車が出来上がるのは当たり前のことである。

これは、自動車という乗り物を考えたときに危険以外の何物でもない。

これを何とか実用までまとめ上げたメーカの努力には感心するばかりである。

コスト重視で軽自動車を選ぶ場合は、通常のドア形状の車高の低い車を選ぶと、ある程度バランスが取れるはずだ。

高級大型ミニバン

いうまでもないことだが、大型ミニバンといっても、先ほどのハイルーフ軽自動車の大型バージョンであるといえる。

大きな違いは、そのサイズと価格が飛躍的に上昇していることである。

この車の最大の魅力は、広大で見栄えのする室内空間を持ち、乗車人数が多く、価格的にメーカのフラッグシップとなっていることが多いことである。

昨今の車の大型化を見ると、ちょっと大きいことが、車にとってどういうことか、あまりユーザーに伝わっていないような気がしている。

ただ、道幅が狭い道路を運転しにくいだけではないのだ。

横幅、前後、高さのそれぞれが2倍になるとその容積は2×2×2=8倍になる。

つまり8倍は少し大げさだが、大きさを2倍にすると重さは2倍以上になるということだ。

車は移動する部屋だと割り切るか営業車両であれば問題ないが、これほどまでに、基本性能を圧迫している車はない。

最も走る、曲がる、止まるを実現するのが難しい車であるといっていい。

それでも、一級品の快適性を演出しているのは、ひとえにサスペンション技術と静音設計技術であるといっていい。

ここに多大なコストがかかっていることは、想像に難くない。

結果としてフラッグシップにするしかないのである。

車が傾くのは乗員の恐怖をあおり、快適性を損なう。

そのため、ブレーキや急カーブ時に大きく重く、車高の高い車体を支えるために、サスペンションを硬くするしかない。

それでいて、路面の凹凸を吸収するようしなやかさを持った理想的な調整式高級サスペンションが必要である。

そして、巨大な車体を引っ張るエンジンはとても小さなボンネットにギュウギュウに押し込まれる。

そして、行き場がなくなったエンジンの発熱をやたらと派手なグリルを装備し、対策することになる。

結果としてオラオラ系のデザインとなったフラッグシップ車は飛ぶように売れることとなる。

設計者から見れば、なぜこのような車が売れるのか不思議に思う人もいるだろう。

このカテゴリーの車は、決してサスペンションやマフラーを改造しようなどと思ってはいけない。

絶妙なバランスで成り立っている車だ。正しくメンテナンスして、慎重に乗車しよう。

クロスオーバーSUV

何やら最近はやりのスタイルである。

あのポルシェまでもがクロスオーバーを作り、コンパクトカーまでクロスオーバーがラインナップされたときは、その流行も絶頂であると思ったものである。

最大の特徴は、大きなホイールと高い車高により悪路を走破できるようなイメージを持つモデルである。

そう、あくまでイメージなのである。

この日本国で未舗装路を走ることがそうそうあるとは思えないし、コンパクトカーのほとんどは前輪駆動車である。

きっとオフロードっぽい車が舗装路を走る姿に何か訴えるものがあるのだろう。売れに売れている。

ミニバンにはあった乗り降りのしやすさや居住性を犠牲にしてまで、クロスオーバーは売れている。

大きいタイヤと高い地上高は、必然的に居住スペースを奪っていく。

さらに、重心高による走行性能の低下は、その高級サスペンションと強度設計の技術力でカバーしている。

この車も持ち上がった重心による悪影響をカバーするために、サスペンションにしわ寄せがくることは想像に難くない。

さらには大型タイヤによるバネ下慣性重量の増加は、乗り心地を悪化させる。

そんな車を通常以上のレベルまでまとめていく技術力の高さは称賛に値すると思う。

やはり、このパッケージング最大の魅力は、運転時の高い目線と大きく見える車体であるということだろう。

これもなぜこれほどまでに人気があるのか不思議に思っている。

大衆はいつも正しいので、これが現時点での最適解なのだろう。

今度機会があれば乗ってみたいものである。

軽量、低重心、重量バランス、車体構成が理想に近い車とは

車の基本である走る、曲がる、止まるを高次元で実現するためには、軽量で低重心、重量バランスがよく、その重量が4輪の内側かつ中心にあることである。

まあ、そんな車は市販車には存在しないが、最も近いのはF1カーであろう。

さすがにそんなものには乗れないので、次はミッドシップエンジンレイアウトのクーペということになる。

しかし、まだ実用性には程遠い。

そのため、次にあるのが4人乗りのクーペかセダンである。

つまり、見方を変えると簡単に安く高性能車を作るにはクーペかセダンがよいのだ。

その中で安くて高性能なコスパに優れる車はセダンであるといえる。

今ほど解析技術が発展していなかったときに、いやというほど作られたせいか、ダサいとかオッサンとかいうイメージがついて、とにかく人気がないのがセダンである。

あの有名なハイブリッドカープリウスの人気を下支えしたものは、セダンというパッケージングによるものか大きい。

燃費とコストを最優先に考えられた車体であるが、パッケージをセダンにしたおかげで、一定の性能を確保できている。

同様にカローラについてもセダンベースのシャーシを使用することで、一定の性能を確保したうえで、コストダウンを実現している。

意外に走行性能が高いセダン

ダサいと切って捨てるにはもったいないほどの走行性能を秘めているのがセダンである。

確かに刷り込まれたイメージと解析技術の進歩により、その優位性が昔ほど目立たなくなっている。

そうはいっても、車の基本形であり、その素性の良さは、小手先のごまかしでは追いつけないものがある。

一番はやはり、その重心の低さである。スポーツクーペなどに比べるとそれほどで低いわけではない。

しかし、ハイルーフ車やクロスオーバーがあふれる現代から見ると圧倒的な低重心である。

そして、重心の低さは、走る、曲がる、止まるを別次元のものに変える。

高級なサスペンションやガチガチのフレームに頼らなくても、実にしなやかな挙動を実現してくれる。

強いて言えば乗り降りが窮屈であるが、乗ってしまった後の快適性は他の車種の追随を許さないものとなるだろう。

そのため、中長距離において、そのアドバンテージを感じることができる。

重心の低い、運転して気持ちいい車を見分けるには、ボンネットとルーフ、エンジン搭載位置が低いものを選べばよい。

次に、セダンはエンジンスペース、居住スペース、トランクスペースが別空間に分離できることも大きい。

なんだそんなことかと思うかもしれないが、排熱や遮音、クラッシャブルゾーン確保の観点から少なくともエンジンスペースは切り離すべきである。

また、トランクスペースも遮音に一役買うし、荷物が外から見えないようにもできる。

しかしながら一番の恩恵は、リアタイヤの上方に後方ピラーを設置できることが大きい。

居住スペースを限定することで、車体全体の強度を増すことができる。

無駄な補強や高級な材料を使わなくても必要強度が確保できるのだ。

ただまあ、ダサいというイメージばかりは越えられない壁である。

それだけで、セダンを選ばない理由には十分すぎる。とても悲しい事実である。

セダンを基準として、その他の車はどのようなコンセプトで変化し、その弱点をどのように補っているのかを理解すると、車選びが面白くなるかもしれない。

最後に物理法則的に走行性能のポテンシャルが高い順に並べてみる。

基本的に重心の低いものほど走行性能が高く、重心の高いものほど居住性や積載性に優れている。

  1. クーペ   (走行性能★★★★★/居住性★☆☆☆☆/積載力★☆☆☆☆)
  2. セダン   (走行性能★★★★☆/居住性★★☆☆☆/積載力★★☆☆☆)
  3. ワゴン   (走行性能★★★☆☆/居住性★★☆☆☆/積載力★★★☆☆)
  4. SUV    (走行性能★★☆☆☆/居住性★★★☆☆/積載力★★★☆☆)
  5. ワンボックス(走行性能★☆☆☆☆/居住性★★★★★/積載力★★★★★)

今回はここまでとする。今後も車に関する記事を書いていくので、何かの参考になれば幸いである。

それではまた。

まとめ

  • 車の基本機能は走る、曲がる、止まる
  • 基本機能を実現する条件は軽量、低重心、質量の中央集中
  • 流行ではなく自分に合った車選びが重要
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