
作業難易度 :★★(部品落下に注意)
事故時の危険度:★★★(エンジンが冷えていることを確認すること)
体感度 :不明(壊れてなかったらしい)
作業時間目安 :約30分
予算 :約5,000円(部品代2個,)
カムシャフトセンサーとは何だろう

こんにちは今回も元気にメンテナンスしていこう。
前回に引き続き、突然のエンジンストール対応について書いていく。分析したエンジンストールの原因の中で、対応ハードルの低そうなものの一つはカムシャフトセンサー交換である。
そもそもカムシャフトセンサーって何だろうというところからスタートだが、ざっくりと以下にまとめてみた。
- カムシャフトセンサーとはカムシャフトの回転角度を検知するセンサー
- カムシャフトとはカムが取り付けられたシャフト
- カムとは吸排気バルブを開閉するどんぐり型の突起
- 吸排気バルブとはエンジンピストンの吸排気を制御する弁
いろんな部品がかかわる装置であるようだが、なぜそんなセンサーが必要なのかを考えてみよう。
まず、本エンジンは4ストローク1サイクルのエンジンである。そのため、吸排気バルブに注目した動作としては以下である。
- 吸気側のバルブが開いたときにピストンが下がると混合気を吸い込む
- 吸排気どちらともバルブが閉じた状態でピストンが上がると混合気は圧縮される
- プラグで点火すると混合気は爆発しピストンが下がる
- 最後に排気側のバルブが開いた状態でピストンが上がると燃えた気体を押し出すことができる
以上のように、ピストンの動きに連動してバルブを開閉しなくてはならないので、吸排気バルブの開閉や点火のタイミングを計るために、吸排気バルブの動作を制御するカムシャフトとピストン動作を制御するクランクシャフトの位置情報が必要となる。
つまりはいい感じのピストン位置の時にいい感じにバルブを動かして、いい感じのタイミングで吸気、圧縮、点火、排気を行うことで、エンジンを制御する重要なセンサーであることがわかる。
これらのセンサーが故障すれば、吸気、圧縮、点火、排気のタイミングがずれて、まともにエンジンは回転しないだろう。
加えて、本エンジンはバルブトロニックシステムというバルブの開閉で吸気量を制御するエンジンのため、カムシャフトセンサーはまさに要のセンサーといっても過言ではないだろう。このセンサーのチェックには大きな意味があると思っている。
クランクシャフトセンサーは交換しないのか

聡明なあなたは気づいたかもしれないが、そもそもコードスキャナー(C110)が拾ったエラーコードはクランクシャフトセンサー故障であった。ご指摘の通りなのだが、本エンジンのクランクシャフトセンサーは、吸気管(インテークマニホールド)のさらに奥、エンジン下側クランクシャフト横に設置されており、私のようなにわかものの侵入を強固に阻んでいる。
そのため、素人には交換のハードルが高く、ビビッているというのが本音である。もう一つの理由としては、クランクシャフトセンサー故障とあるが、実はカムシャフトセンサーさえ正常であれば動作するのではないかという願いである。
実はクランクシャフトとカムシャフトはカムチェーンで接続されているため、カムチェーンが緩んでいない限りはどちらか一方が正確に検知できれば十分とも考えられる。バルブトロニックシステムを考慮すると、カムシャフトセンサーがメインで、クランクシャフトセンサーがサブのような気もする。
結局、中の人でないので、どのような制御をしているかはわからないが、カムシャフトセンサー2つ、クランクシャフトセンサー1つの合計3つのうち1つが故障してエラーが上がったのではないかという願望である。確かに走行距離的に3つとも交換したい気持ちはある。
ちなみに先述で説明は省いたが、本エンジンはDOHC(Double Over Head Camshaft)エンジンであり、ピストンの上側に吸気側と排気側の2本のカムシャフトがあるため、カムシャフトセンサーも2つある。
カムシャフトセンサー交換

いよいよカムシャフトセンサー(部品番号No.13627525014)を交換していこう。
まずはいつも通り、吸気ダクト兼化粧板を外していく前側3つのネジを外すし、ダクトから外す。
するとエンジンヘッド左右に一つずつカムシャフトセンサーが確認できる。
固定ネジは下側を向いており、緩み止め剤が塗布されているため、落下させないよう慎重に取り外そう。
カムシャフトセンサーにはコネクタケーブルが接続されているが、センサーを引き抜いた後にコネクタを外したほうが構造がわかりやすい。今回は特にオイルの侵入によるショートなどもない様子だ。

ちなみにセンサーにはOリングが付属しているので、引き抜いたときについてこなかったら、エンジン側に残されていないか手さぐりで確認してみよう。
引き抜いたセンサーはドロドロに汚れており、センサーが設置された穴から指を入れるとさらに汚れが取れるので、どうやら汚れがたまりやすい場所に設置されているようだ。オイル交換の大切さを認識する体験だ。
逆の手順で新品のセンサーを設置して作業は完了である。
作業が終わって気分上々、意気揚々、ドキドキでエンジン始動!
その後、なんとかエンジンは始動したものの大量のエラー通知が上がってきたので、ゆっくりと肩を落とし、イグニッションをOFFにした。アイドリング不安定の症状が変わらないことを確認できた。
今回のエンストの原因ではなかった

結果として、今回のカムシャフトセンサー交換ではエンジンストールの症状は改善されなかった。原因は別にあるようだ。本当にクランクシャフトセンサーを交換しなければいけない可能性も考慮される。
ただし、今回カムシャフトセンサーを交換して感じたのが、クランクシャフトセンサーを含めて、こんなものそう簡単に故障するのだろうかという疑問である。
なぜならば、センサー本体を見てみるとおよそ磁石に準じた構造で、シャフトの回転による磁界の変化を電気信号に変換するタイプのセンサーのように見える。そのため、故障モードは磁界が変わるくらいの熱や衝撃を受けるか、断線くらいだろうか。確かにセンサー付近に汚れが付着していたが動作に支障をきたすレベルにはないように感じている。
仮に半導体センサーであるならば、有寿命品の認識だが、このタイプの非接触センサーはいつかは壊れるとしても10万km程度でどうこうなるものでもなさそうなのである。そもそも壊れないからこそクランクシャフトセンサーは奥に設置しているとさえ思っている。
加えて、本当にカムシャフトセンサーやクランクシャフトセンサーが故障していたとすると高回転域でも異常が発生するはずなので、今回のアイドリング不安定と低回転域でエンジンストール、高回転域で違和感なしという症状に該当しないのではないかと思えてきた次第である。
まあいろいろとやってみたからこそわかったことであるので、まったくの無駄ではなかったとは思っている。また一つのうまくいかない方法を発見したと自分に言い聞かせる。
今回はここまでとする。本記事がステキなBMWライフの一助になれば幸いである。それではまた。
まとめ
- カムシャフトセンサーはエンジンの重要部品
- クランクシャフトセンサーも連動している
- カムシャフトセンサーの交換は簡単
- 今回はカムシャフトセンサー異常なしを確認
- 次回はPCVバルブを確認予定


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