カーエアコンがきかないという地獄
- 作業難易度 :★★★★★(専用機器が必要、ショップに依頼しよう)
- 事故時の危険度:★★★★★(圧縮気体ほど危険なものはない)
- 体感度 :★★★★★(私の場合、送風口温度比較-8℃)
- 作業時間目安 :60~90分
- 予算 :約10,000円(ガスクリーニング、ショップ作業費込み)
- メンテ周期 :2〜4年毎(エアコンがきかなくなったら)
- 注意点 :冷媒ガス回収、充填量は管理すること。大気放出不可
こんにちは、今日も元気にメンテナンスしていこう!
夏か迫ってきた今日この頃。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
まあ、前々から気づいてはいた。気づいてはいたのだが、いろんな理由をつけて気づかないふりをしていた。
そう、なんか暑いのだ。車の中がどうしようもなく暑い。確実に暑い。
それもそのはず。メーター下の外気温計は33.5℃を指している。
快晴のため、直射日光で黒の鉄板は今にも目玉焼きができそうなくらいだ。
しかも、ガラスの製品表示を確認するとUVカットもIRカットも書かれていない。
要するに真夏を前に車内は灼熱ということだ。
水風呂に入れば、今にも整いそうな勢いである。
エアコンのきかない車なんて存在価値の99%を失っているようなものだ。
運転中に意識がもうろうとするレベルであるので、いろんな意味でかなり危険だ。
カーエアコン故障かな?と思ったら
まあ、落ち着いて、まずはエアコンの設定を確認しよう
BMWあるあるとして、国産車と違う表示のため、設定を間違えている場合があるらしい。
なるほど、私も落ち着いて、可能性をつぶしていこう。
チェック1:送風口から風は出ているか
→はい、めっちゃ生ぬるい温風ではない風が出ている。
チェック2:ACボタン(雪の結晶みたいなマーク)はONになっているか
→はい、雪の結晶みたいなやつのLEDはありのまま光ってる。
チェック3:送風口下にあるホイールスイッチは青側になっているか
→はい、青になってる。つか、なにこれ?まあいいか。
チェック4:設定温度は適切か。
→はい、左右とも最低温度の16℃に設定されている。
うん、エアコン設定は問題ないようである。ということは、エアコンがうまく動作していないということのようだ。
カーエアコンがきかない原因
当たり前だが、エアコンがきかない原因は、エアコンを構成する何かに問題がある。
主なエアコンシステムの構成は下記である。
- 冷媒ガス
- コンプレッサー
- エバポレータ、配管
- 制御コンピューター
- フィードバックセンサ
- 送風ファン
他にもあるかもしれないが、このくらいあれば、エアコンは動作するはずだ。
消去法で追い込んでいくことにする。
可能性の第1位は冷媒ガスの抜け
冷媒ガスが抜けている可能性が一番大きいと推測。そして、そうであってほしいとの私の願いがある。
これ以外の原因だと、車体の買い替えを検討したくなるくらいコストが大きい。
冷媒ガスは、エアコンシステムの管内を循環しているだけであるので、理論上は消耗しないとよく言われる。
しかし、ご存じの通り、ガスとは気体であるので密閉が難しく、管のつなぎ目のようなわずかな隙間から大気中へ逃げていく。
家庭用のエアコンでは、基本的に金属管を溶接したりして、徹底的に密閉するので作業ミス以外では、冷媒ガスはほとんど漏れない。
それに対して、車は常に振動や衝撃がかかり続けるので、ゴム管が使われていたり、菅の変形や亀裂、隙間拡大などによりガスはいつ漏れてもおかしくない状態であるといえる。
つまり車の場合は、実用上で冷媒ガスが一定量抜けていると思っていたほうが良い。
国産車、外国産車にかかわらず、3~4年程度で抜けると思っていてよいだろう。
エアコンの効きが弱くなったり、エアコンから異臭がするようなら、まず疑ってみよう。
絶対壊したくないコンプレッサー
コンプレッサーがエアコンの本体といって過言ではない。
ザックリ言いうと、ピストンかそれに準じた機構により、冷媒ガスの減圧と圧縮を行う機械である。
これを使って減圧した冷媒ガスの気化熱で、熱を車外に放出し、冷媒ガスを冷やすことができる。
コンプレッサーが冷媒ガスを冷やし、冷媒ガスがエバポレータを冷やし、エバポレータが空気を冷やしクーラーが効く仕組みだ。
コンプレッサーがエアコンシステムの中で最も高額な部品のひとつである。
これが壊れていると車を維持するモチベーションが駄々下がりとなる。
よって、これがエアコン不調の原因でないことを祈るばかりだ。
しかしながら、現状、雨の時にフロントガラスや車内の除湿ができていることから、コンプレッサーは何とか動作している状態であると推測。
送風口より異臭もすることから、コンプレッサーは動作しており、周囲がひどく結露している可能性がある。
これ以上のコンプレッサーの強制動作は、ガス漏れやオイル漏れで、破損に至る可能性があるので、即刻動作を停止する。
ちなみに冷媒ガスは、コンプレッサーオイルとともにシステム内を循環しているらしい。
そのためシステム内の管に亀裂や隙間があれば、そこからガスとオイル漏れにより、コンプレッサー焼き付きによる故障の可能性がある。
配管関係の亀裂、破損
先述した通り、冷媒ガスとコンプレッサーオイルは、エアコンシステムの管を循環している。
その途中に亀裂や破損があれば、そこからガスが駄々洩れになる可能性もある。
循環ラインのどこから、何か所漏れているのかわからないため、原因を追うのが難しいタイプの不具合であるといえる。
エバポレータも配管の一部と考えることができるので、ここも破損がないことを祈るばかりだ。
エバポレータの汚れによる空気管のつまりであれば、エアコンクリーナーでも吹いておけば改善されるだろう。
最近はエバポレータも破損することは少ないようなので、こちらも気にしないことにする。
ちなみに一応は金属であるので、結露で錆が発生する可能性がないわけではない。
制御コンピューターも壊れてほしくない
コンプレッサーと並んで、壊したくない高額部品がエアコン含めた制御コンピューターだ。
これが壊れると、エアコンやファンの制御が不能となる。
ファンが回らなかったり温度設定ができなくなるなどが考えられる。
しかしながら今回の場合は、ファン動作に問題なく、ヒーター側の動作は正常であるようなので、こちらの可能性も薄いと推測した。
忘れがちなフィードバックセンサ
忘れがちであるが、外気温や吸気温度をコンピューターに教えてやるためのセンサーも必要部品の一つだ。
センサそのものは、そう高額ではないと思うので、問題なさそうであるが、素人には制御コンピューターの不具合との切り分けが難しいところである。
まあ、今回の場合は、ヒーターの動作に問題ないため、あまりこちらの故障は想定していない。
一応チェックすべき送風ファン
一応確認すべき項目ではある。
まあ、今回の場合は、送風口から風が出ているので、正常動作でよいだろう。
故障の場合は風が出ないか、極端に弱いかになるので、比較的切り分けしやすい。
ちなみにここは、E90においてリコールがかかっているので、対象車種であるか対応完了であるかを確認しよう。
発火、発煙対策という意外に重要な対策が施されている。
今回は消去法で冷媒ガス抜けと推測
推測したはいいが、まだ、問題は残されている。
1つ目は、冷媒ガス抜けであるという確認方法がないということ
2つ目は、なぜ、どこから漏れたかわからないこと
まあ、結論としてこの2つは素人にはどうにもできない。
やってみて、結果をフィードバックすることしか切り分けできない。
DIYで冷媒ガスを追加することができるらしいが、ガス量の測定や扱いが難しい。
そもそも冷媒ガスは大気放出不可である。そんな、課題の多いメンテナンスはDIYするメリットがあまりない。
今回はどのくらい冷媒ガスが抜けていたかを確認するために、真空引きでガスクリーニングをショップに依頼することとする。
さっそくショップに依頼
思い立ったが吉日とのことで、即日対応できるところを探した。
モノは試しとまずは近所のイエローハットにお願いすることにした。
意外にも冷媒ガス取り扱いの詳細は、店舗にヒアリングしないとわからないことが多い。
気になったのが、意図的に「ガス交換」とか「ガス抜き」というワードは使わないようだ。
あくまでも、「一度抜き取った冷媒ガスをクリーニングしてから戻す」といった表現をしている。
その際に、「不足した分は補充する」というのを強調された。なんとも教育が行き届いているようだ。
個人的には、ガス漏れ軽減のため、コンプレッサオイルや添加剤はワコーズにしたかったが、選択の余地はないとのこと。
施工した結果、次の日ガスが抜けていたとしても保証できないことも説明された。
まあ、冷媒ガスを補充して、どのくらいでエアコンが再び効かなくなるかで、漏れ量を確認できる。
冷媒ガスが2年持てば、基本的に問題なしの判断だ。
1か月で抜けるようなら、配管に亀裂や大きな隙間があるはずなので、配管の交換、修理が必要だ。
ちなみにこのようなショップでは、外国産車というだけで警戒される。
国産車と構造や規格が異なる場合が多い上に高額なイメージがあるからだと思う。
ベンツやBMWの普及モデルなら結果的に問題ないかと思うが、まれに聞いたことないようなモデルが持ち込まれたらショップも大変だろう。
冷媒ガスクリーニング結果確認
事前に電話連絡で詳細を確認したショップに車を持ち込んで、作業依頼。
手続きを終えて、しばし待つ。
ほどなくして、作業完了の連絡を受けて、結果を聞きに行く。
何が原因かわからないため、やや緊張気味ではある。
今回依頼した真空引き作業のいいところは、回収したガス量と再充填したガス量が管理できるところだ。
さらに配管に明確に大きな穴が開いていれば、真空引き作業そのものができないはずだ。
結果は下記
- 冷媒ガス回収量:130g
- 冷媒ガス追加量:460g
- 冷媒ガス充填全量:590g
- 送風口空気温度:23℃→15℃
すばらしい結果である。
明確にエアコン不調の原因が冷媒ガス漏れであることが確認できた。
最大風量、設定温度16℃に対して、送風口温度15℃。
作業前の送風口温度比較で-8℃の改善。
これはもう劇的な改善であり、まさに別世界である。
そして、コンプレッサーや制御コンピュータなど、高額部品に故障がないことが確認できた。
ほぼ期待通りの結果で、うれしい限りである。
しかし、最後に残った問題がある。
そう、ガスが漏れた期間である。10年かけて漏れたのか、ここ1か月で漏れたのかで、結果が異なる。
まずは、このままひと夏は様子を見ることにする。
なんか、エアコンの効きが弱い、エアコンの風がやたら臭いなどの症状がある人は、冷媒ガスのメンテナンスをお勧めする。
後日談であるが、結果的に3年間は問題なくエアコン動作している。
特に亀裂などの漏れではなさそうである。
現時点まで外車であってもエアコン含め、意外なほど致命的な故障は起きていない。
今後もメンテナンス情報を書いていくのでよろしく。
まとめ
- エアコンが効かないときは冷媒ガス抜けを疑う
- 事前に各項目をチェック
- 原因が冷媒ガス以外の場合は、乗り換え含め高額修理を覚悟する