ドイツ車のエアコンってどうなのか
- 作業難易度 :★★(専用工具が必要、圧力測定は簡単)
- 事故時の危険度:★★(エンジンが冷えてることを確認しよう)
- 体感度 :★(ただの測定)
- 作業時間目安 :10~15分
- 予算 :約5,000円(チャージホース、エアコン冷媒ガス缶)
- メンテ周期 :2〜4年毎(エアコンガス圧力が気になったら)
- 注意点 :手順を確実に守ること。ガスが駄々洩れにならないように
こんにちは、今日も元気にメンテナンスしていこう。
現在、ドイツ車は本当に壊れやすいのかという噂を身をもって確認中である。
試験体はBMW 320i LCI E90 である。
今回はエアコン冷媒ガスの圧力確認だ。
エアコン冷媒ガスは3年くらい前にショップでガスクリーニングに出して、適正値にメンテナンス済みである。
約2年が経過して、エアコン冷媒ガス漏れの具合を調べることが今回の目的だ。
もし、大量にエアコン冷媒ガスが抜けているようなら、ガスチャージしてメンテナンスを実施する。
1回のガスチャージで2年も持てばまずまずである。
理論的にエアコンの冷媒ガスは減るものではないが、構造的に車のエアコン管路内に冷媒ガスを保持することはかなり難しい。
ホームエアコンのように据え付け式であれば、それほど気にならない。
しかし、車は常に振動、衝撃、高温、多湿の自動車エンジンルーム内に設置されている。
過酷な環境の機器は、不具合でなくとも故障を促進する。
個人的にエアコンのきかない車は粗大ごみだと思っているので、エアコン機能の正常動作確認は重要だ。
また、蛇足だが本車種のエアコンは日本製が搭載されているということで、日本車の品質と同等であると考えている。
ボンネット内のエアコンガスバルブ位置を確認
エアコンガスの圧力を測定するためには、まず、ボンネットを開けてエアコンガスバルブの位置をチェックする。
いろんな構造が入り組んでいるエンジンルームでわかりにくいが、左手前に高圧側のバルブと右奥に低圧側のバルブが設置されている。
高圧、低圧と書いてはあるが、これはコンプレッサー稼働時の状態を示しているので、停止時はほぼ同圧力になるだろう。
そのため、コンプレッサー稼働状態で低圧側からアクセスするのが無難である。
所詮車というモノの機能から見れば、エアコンなど付加機能にすぎない。
車屋は車屋であって、エアコン屋であったり電気店ではないということを再認識しよう。
つまりは、エンジンルーム内に居候させていただいている身分、それがエアコンである。
エンジン設計者からすれば、エアコンの設置スペースなど邪魔以外の何物でもない。
走る、曲がる、止まるを悪化させる上にエンジンパワーを消費するコンプレッサーまで積んでいる。
そんな、肩身の狭いエアコンだが、私は全力で応援する。
ちなみに、今回は低圧側のバルブを使用する。
向かって右側のサスペンションの上側あたりにある樹脂キャップがそれである。
ボンネット内向かって左手前にあるエアコン冷媒ガスの高圧側バルブ。
オートマフルードの入油口あたりにある。
高圧側は低圧側より細い径となっており、逆接続防止されている。
ちなみに、高圧低圧というのはコンプレッサー稼働時のことであろう。
コンプレッサー停状態では圧力差なしとなっている可能性が高い。
ちなみにヘッドライト周りは感電注意とあるので、ボンネットを覗く際はヘッドライトは消しておいたほうがいいだろう。
こちらが本命のエアコン冷媒ガスの低圧側バルブ。
ボンネット内正面向かって右奥サスペンションのアッパー付近に設置されている。
先端は樹脂キャップで保護されている。
保護キャップを開けると米式バルブにも似たものが姿を現す。
中央の突起を押し込むとバルブが開き冷媒ガスが噴出する。
圧力がかかっているので、そう簡単に開くものではないが、つつかないように注意しよう。
エアコンガス圧力チェックに必要な工具を確認
ここで、今回必要となる機器を紹介する。
チャージホースと冷媒ガス、エアコンガスオイルの3点だ。
今回のように圧力チェックのみであれば、エアコンガスオイルの缶は必要ない。
ただし、ガス圧チェックの結果、冷媒ガス圧不足の場合は、冷媒ガスが必要になる。
また、オイルが抜けている場合は、コンプレッサー保護のためエアコンガスオイルも必要になる。
エアコンガスオイルは冷媒ガスと共にエアコン内を循環している。
減るものではないが、もし穴があって抜けている場合は、穴を埋めた後に補充する必要がある。
ガス缶側のチャージホースアダプタ
蝶ネジがついていて、反対側には針の先のようなものがついている。
この先端でガス缶に穴をあけてガスをチャージする。
そのため、最初は針を最大までひっこめた状態でガス缶に接続する。
チャージホースの反対のアダプタは、車両側のエアコンガス低圧バルブに接続する。
これは押し込むと接続できるようになっている。
各アダプタの間にある目盛りが圧力計で、エアコン冷媒ガスの圧力を測定することができる。
当然であるが、ガス缶側を先に接続しておかないと冷媒ガスが駄々洩れになるので注意が必要だ。
ボンネット内部のバルブにチャージホースを接続する
チャージホースの準備ができたらいよいよエアコンガスルートに接続する。
最初は嵌まりにくいかもしれないが、グッと押し込むとアダプタが嵌まる。
この際にガスがプシュッと漏れることがあるが、臆せず押し込もう。
斜めにだけ入っていたり、ガスが抜け続けなければ大丈夫だ。
うまく接続できたらこの状態でガス漏れがないことを確認しよう。
もし、ガス漏れの音がするようならチャージホースから先に穴が開いているので、速やかにホースを取り外そう。
正しく取り付けできたら、チャージホース内の空気を抜く。
ガス缶側を一瞬緩めてプシュっと音がしたら再び締めて完了だ。
この状態でチャージホース内もエアコン冷媒ガスとなる。
以上でセッティング完了である。
エアコンをMAX起動でガス圧を確認する
チャージホースを接続したら、エンジンを始動して、クーラーをMAXで起動したときの圧力を確認する。
圧力計の適正値内針があれば、エアコン冷媒ガス圧力に問題なしであるといえる。
今回は、ガス圧力は適正値であったため、工具を外して作業終了とした。
もし圧力不足であれば、冷媒ガスをチャージして再度圧力確認という手順になる。
3年たっても冷媒ガスは基準値であったので、特に抜けやすいといったこともないようだ。
理論的には、エアコンガスが抜けることはないが、実際には少しずつ漏れている。
どうしても気体であるので、2年ごとくらいは圧力をチェックしてガス圧が正常であることを確かめるといいだろう。
エンジン動作中の動画を参考に載せておくのでよかったら参考にしてほしい。
コンプレッサーが動いたり止まったりして、適正ガス圧を保つように駆動しているようだ。
そのため、実はこの方法では実際の管路内のガス量を知ることはできない。
少なくともコンプレッサーが適正ガス圧まで上げられる程度のガスが入っているということだ。
この圧力を保てなくなった時が、エアコンが効かなくなるということだろう。
その場合は、ガスチャージで対応することができる。
ちなみに0.2MPaではエアコンが正常動作しなかったので、約200gのエアコンガスを追加。
結果的にガス圧力は0.3MPa程度に上昇した。
その状態で、エアコン動作がある程度正常となった。
つまり、実際には0.3MPa程度のガス圧が適正な気がするが、圧力計ではエアコンガス重量を測定することができないので参考値となる。
エアコンガスの適正値は590g±10gと記載があるので、正しくはエアコンガス重量で規定するものである。
ちなみに、ショップでガスクリーニングを行うとガス残量と追加量をg(グラム)単位で測定することができる。
エアコンが効かなくなった時点で一回お願いするとどの程度補充すればよいかの参考になるだろう。
本機の場合は約2年でエアコンが全く効かなくなり、エアコンガスクリーニングに出すと400gほど抜けていたとのこと。
そのため、今回エアコンの効きが微妙な状態で、200g足したのでちょうどいいくらいかと思う。
本機については、エアコンが効かなくなったら200g足す程度でよいかと思う。
エアコンガスの補充のし過ぎも懸念されるが、エアコンガス缶の圧力はある程度限られているため、それ以上のガスは理論上注入できない。
今回はここまでとする。
今後ともメンテナンス情報を書いていくのでよろしく。
それではまた。
まとめ
- エアコン冷媒ガスは少しずつ漏れている
- 測定はエアコンをMAX起動状態で行う
- 必要以上にガスを漏らさないように注意する
- ガス圧は参考値、ガス量が適正値になるようメンテナンス