機械式時計のムーブメントは美しい
いよいよ、アンティーク機械式時計の醍醐味であるムーブメントの鑑賞だ。
手に入れた時計をまじまじと見つめてみよう。すると不思議なことに、そしてあたりまえであるが、大抵の場合、腕時計のムーブメントは見ることができない。
稀にシースルーバックになっていることがあるが、多くの場合オリジナルではなく、あとから付け加えられたものだろう。
これだけ美しい造形を持ちながらそれをケース内に閉じ込めて、メンテナンスの時以外見れない状態となっているのだ。
見るものでもなければ、まして見せるためのものでもない。それにもかかわらず大半のコストが見た目に裂かれているのがわかる。
まさに不可解である。持ち主ではなく時計師のみじっくりと鑑賞することが許されている。十分見るに値するムーブメントを持つロレックスについてもムーブメントは見える状態にない。
懐中時計に関して言えば、腕時計よりは見やすい構造となっているが、基本的に他者に見せる構造とはなっていない。当時の紳士は時刻ではなく機械を見ながらニヤニヤしていたのだろうか。
そんな声を拾ってか現代の機械式時計にはシースルーバックが多い。しかしながらムーブメントの美しさというよりも機械式時計であること、偽物でないことを示すためのギミックであるようにすら見える。
特に美しいムーブメントが収められていることは少ない。
裏蓋を開けてムーブメントを鑑賞する
せっかくアンティーク時計を手にいれたのであれば、是非鑑賞していただきたい。ムーブメントに興味がなければ、アンティーク機械式時計でなくても綺麗でかっこいい時計はいくらでもある。
何が違うのか美しいかは好みによるが、表面仕上げや使用されている材料、部品などである。数を見ることで少しずつ好みがわかってくる。
オススメは断然手巻き式である。ムーブメント鑑賞を邪魔するローターがなくシンプルな構造だからだ。
参考のため以下にケースの方式と開放方法を簡単に示す。※以下作業はケースに傷がつくことがあるので、自己責任で実施すること。詳しくは別記事にて記載予定。主な裏蓋の形式を示す。
- スナップバック式
- スクリューバック式
- シースルーバック(スクリューバックかネジ止めが多い)
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広告スナップバック式
裏蓋がケースに嵌め合わされている。リューズと反対の位置に隙間があるのでそこをコジアケでこじると開放される。比較的容易に開放することができるが、防水性能は無いに等しい。アンティーク時計に多い構造。
スクリューバック式
裏蓋がケースにねじ込まれている。溝に工具を噛ませて反時計回りに回す。大きなトルクと工具の使用にコツがいるため、開放の難易度は少しあがるが、防水性能が確保しやすい構造である。スポーツウォッチに多い構造。
シースルーバック式
裏蓋を開放するまでもなくムーブメントを鑑賞できる。カスタムで後付けすることも可能。自動巻きの場合ローターがムーブメントを半分隠す形となるので、手巻き式の方がムーブメント鑑賞には向いている。
最近の機械式時計に多い構造。止め方は主にスクリューバックが多い。ガラス部分が新たな防水ラインとなっている。
まとめ
- 頻繁にムーブメントを見たい人はスナップバック式
- 防水性能が重要な人はスクリューバック式
- どっちも捨てがたい人はシースルーバック式