スパークプラグは点火を担う重要部品

- 作業難易度 :★★★(特別難しくはないがめんどくさい)
- 事故時の危険度:★(特に想定される危険はない)
- 体感度 :★★★★★(劣化しているほど体感できる)
- 作業時間目安 :約90分(慣れればもう少し短縮できそう)
- 予算 :約3,000円(イリジウムプラグ)
- メンテ周期 :約5000km
- 注意点 :トルクレンチと各種エクステンションは準備すること
こんにちは、今日も元気にメンテナンスしていこう!
今回はTL1000Rのスパークプラグ交換について書いていく。
2気筒しかないTL1000Rにおいて、スパークプラグの重要性は多気筒エンジンのそれより高い。
ちょっと火花が飛びにくくなれば、エンジン性能の50%に大きな影響を及ぼす。
一方で気筒当たり点火回数は、同排気量の4気筒と同じであるため、特別プラグの寿命が短いわけではない。
そうとなれば、せっかくなのでイリジウムプラグを入れたくなるのが人情というものだ。
ここで注意するべきは、イリジウム≠長寿命品ではないということだ。
私の知る限り、TL1000Rに長寿命プラグのラインナップはない。
通常のプラグと同じく5000kmごとに交換することが望ましいといえる。
ちなみに、私はイリジウムプラグが長寿命プラグであると勘違いしていたため、10000km以上も無交換で過ごしていた。
その結果、始動性や加速、エンジンフィーリングはひどいことになっていた。
しかし、徐々に悪化するために気づきにくいのがプラグの劣化である。
そのため、交換後は実に滑らかに加速するようになった。
TL1000Rについていえばプラグ交換は大変めんどくさい作業であるが、やるだけの価値がある作業だ。
本記事で方法を確認して、やはり面倒であるなら整備工場に頼んでもいいだろう。
見積を行い、5,000~10,000円程度であれば妥当と思えるだろう。
すごい面倒だがアンダーカウルとサイドカウルを取り外す

TL1000Rを含むフルカウル車の弱点の一つがそのメンテナンス性の悪さである。
走行中はライダーを守り、高速走行を実に快適なものにしてくれるフルカウル。
これなしでは高速道路を走るなんて考えられないほどの効果がある。
というよりも、バイクには少なくともカウルがついているべきであるとすら思っている。
しかしながら、メンテナンス時はただの障害物となる。
そのため、気長にカウルを外していこう。
TL1000Rもサイドカウルを取り外すためには、まずこのウィンカーを固定している小さなカウルを取り外す。
プラスのタッピングネジ1つで固定されているので、こちらを外してカウルを上に引き上げると外れる。

アンダーカウルは、周囲8個のネジを外すと外れる。
続いて、サイドカウルを外していく。
この時右側のサイドカウルにはヒューズボックスがついているので、こちらを外すこと。
これまた、簡単には外れないので心が折れないように、強い心で取り外す。
サイドカウルをはずすときにエアインテークもサイドカウルと一緒に外れるが問題ない。

ちなみにクーラントのタンクもここにあるので、クーラントの補給はこちらから行う。
水温が100℃を超えた状態では、水蒸気となって大気中に水分が放出されている状態である。
気が付いたときは蒸留水を足しておこう。
この時、クーラントを足し続けるとクーラント濃度が濃くなり、放熱性能が低下する。
ただし、クーラントが漏れて減っている場合は、クーラントを足す必要がある。
クーラントが減った原因を冷静に判断しよう。
最悪のパターンはオイルラインにクーラントが漏れている場合だ。全く確認のしようがない。

左側にはバッテリーなどが鎮座している。
バッテリーはそこにあるんかーい!といいたくなる。
ちなみにシート下にはまるでバッテリーボックスのような空間があるがあれは何だろう。
きっとバッテリー設置位置について紆余曲折あったに違いない。
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カウルが外れたら今度はタンクを持ち上げる

といいたいところだが、タンクを上げるにはこのあまりにも邪魔なステアリングダンパーを外す。
タンク側のボルトを外して、タンクを留めているボルトも外す。
これでタンク前方を持ち上げればよい。
この時ハンドル軸の穴とタンク固定ボルトの通し穴を使って、タンクを上げた状態で固定する。
そのための棒はリアシート下に嵌められているので、こちらをつかう。
やっとで2番気筒のプラグコードが見える。

軽く埃を払ったら、プラグキャップを上に引き抜く。
いつも疑問であるのだが特に固定する機構はない。
はめ込まれているだけだ。

プラグキャップが外れた状態

目視できる位置にはないが、内部にプラグの上部が見える。
ちなみにTL1000Rのエンジンヘッドはマグネシウム合金である。
ここにも徹底された低重心化の取り組みが見て取れる。


プラグ用のソケットにエクステンションを付けて反時計回りに回すとプラグが外れる。
どうしても工具がない場合は、車載工具にプラグレンチがあるのでこちらを使ってもよい。
ソケットは21mmのもので抜けるはずだ。

無事プラグが外れた。
左が新品で右が10000km以上走行したもの、よく動いていたものだ。ボロボロである。

逆の手順で新品のプラグを締めこむ。
この時トルクレンチを使用することでトラブルを防ぐことができる。
締めすぎれば、エンジンヘッドのネジ山を破損してしまう。
緩すぎれば、走行中に緩んでエンジン性能に支障をきたす。
規定締め付けトルク11N・mで締めこむこと。
ちなみに標準プラグは下記
- NGK CR8EK
- DENSO U24ETR
- 規定締め付けトルク 11N・m
これで2番気筒の交換が完了した。
なんだ簡単じゃないかと思うかもしれないが、1番気筒はややめんどくさい。
ラジエターをずらして空間を確保する

なんと1番気筒はラジエターをずらさないと交換できない。
なんともメンテナンス泣かせな構造である。
注意深く固定ボルトを外して、ズルっと下に下げよう。
大抵、高温に繰り返しさらされたボルトは焼き付いているので、折らないように注意する。
忘れがちなラジエター下側のボルト

こんなところにもボルトがある

こんなところにもある

なぜかラジエーターは2つもあるので、つなぎのボルトもある。
どのボルトも破損注意である。
まあ、プラグキャップさえ外れればあとは2番気筒と同様の作業である。
最後に逆の手順で元に戻して作業完了だ。
まったくもって二度とやりたくない作業である。
工賃5,000円でやってくれるところがあればぜひお願いしたいところである。
効果のほどはどんな感じか

まあ、控えめにいって最高だ。始動性、加速、燃費が元に戻った。
本来のパフォーマンスを発揮できている。
こんなにも気持ちよかったのかと感動する。
やはり、TL1000Rはメンテナンスの効果を体感しやすい機種であるといえそうだ。
まだまだ、壊れるそぶりはないので今後とも乗っていきたい。
今後もメンテナンス情報を伝えていくのでよろしく、それではまた。