アクティブサウンドデザインの未来を疑似体験

疑似排気音をスピーカーから再生する

作業難易度  :★    (OBD2コネクタにアダプタを差し込むだけ)
事故時の危険度:★    (ないとは思うが感電注意)
体感度    :★★★★(いい悪いは別にして音はでる)
作業時間目安 :約5分
予算     :約2,000円 (OBD2アダプタ)

こんにちは今日も元気にメンテナンスしていこう。

今回は、アクティブサウンドデザインについて書いていこうと思う。

そもそもアクティブサウンドデザインって何?というところなのだが、ざっくりいうと車内または車外のスピーカーから車の排気音を再生するシステムのことである。

2012年頃から各社自動車メーカーから同様のシステムのリリースが行われていおり、メーカによってはアクティブサウンドコントロールという名前だったりもする。

BMWでは車外スピーカーによる排気音再生システムのことをアクティブサウンドデザインという名前で発表しているが、今回は総称してアクティブサウンドシステムと表現する。

私がこれを知ったのはBMW i8に搭載されていたからである。

東京モーターショウ(現在の東京モビリティショー)でBMW i8をみて、なんてかっこいいデザインなんだと思い、いつか乗ってみたいと夢見ていた。

まあ、当然いち庶民に手の届くような価格ではなく、夢見ながら情報を収集するので精いっぱいである。

そんななか、i8の排気量を見てみると3気筒1500ccだと書いてある。

当然ターボとモーターで補った出力はトータルで362PSと十分なものとなっているが、見た目からは想像もつかない内容であった。

そんなスペックの一番の懸念材料は出力ではなく排気音である。こればかりはターボやモーターではごまかせない。

3気筒1500ccの音しかしないのだから、少々寂しい感じがしたものだ。

見た目と値段からは少なくとも6気筒、3000ccくらいは欲しいものだ。

当然、開発側もそんなことは承知済みである。そんな課題にBMWはスピーカーで排気音を再生するという対応を選択した。

きっとその出来栄えは素晴らしいものかと想像するが、ネット上にはアクティブサウンドシステムのキャンセル方法ばかりがヒットすることから、基本的にはまだ発展途上とシステムであると推測する。

まだまだ、「本物の音」にこだわるユーザーは多そうである。

実際に排気音をスピーカーから流してみよう

なんとなく画期的に感じたアクティブサウンドシステムであるが、そんなに毛嫌いされる理由を知りたくなったので、実際に排気音をスピーカーから流してみようと思った。

全く同じシステムを導入することは難しいので、E90 320iにOBD2とiPhoneアプリの合わせ技で対応して、車内のオーディオ用スピーカーから排気音を再生してみようと思う。

実は数年前に似たようなことをやってみたことがある。

その時はXLR8というアプリであったが、GPSからiPhoneの移動速度を検知して排気音を流すシステムであったので、タイムラグが大きく、アクセルワークと外れた排気音は雑音以外の何物でもなかった。

他にもSound Racer Xというシステムも有名で、シガーソケットからオルタネーターノイズと同期することで排気音をならすシステムである。これもオルタネーターノイズを除去された車ではうまく機能しないとのことだ。

そのため、このアクティブサウンドシステムは、エンジン回転数との同期が重要な課題の一つであると感じていた。

そして、今回はRevHeadzというアプリを使用した。これはOBD2から検出されるエンジン回転数と同期させて、排気音を再生する仕組みであり、前述したの2つの方法よりも同期方法については期待できる方式だ。

セットアップも簡単で、手順は下記

  1. iPhoneにアプリをインストール
  2. iPhoneのオーディオ出力端子を車のオーディオ入力端子(AUX)に接続
  3. OBD2アダプターを車のOBD2コネクタに接続
  4. アプリを起動し、BluetoothでOBD2アダプタとiPhoneを接続する。
  5. アプリで排気音を選択
  6. エンジンスタート、ドライブボタンを押す

以上でセットアップは完了だ。特に難しいことはなかった。

ちなみにE90 320iのOBD2コネクタはアクセルペダル右側のパネルを手前に引いて外すと出てくる。

アクセサリ電源OFFでも通電しているので、バッテリ負担軽減のため、使用後にOBD2アダプタは外しておくこと。

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E90 320i+OBD2+iPhoneアプリの実力はいかに

結果としてはアクセルに対する排気音の反応速度はいい感じである。

一部レビューではわずかに遅れるともあるが、個人的には十分合格レベルにあると感じた。

そもそもそこまでレスポンスの鋭いエンジンではない。

問題は再生音である。レビューにはしょぼいとか、YouTubeからコピーしてきたとか、さんざん書かれている。

個人的な感想としては、わざとらしい、違和感を感じる、といったところだろう。

わざとらしいというのは、アイドリング時に音のばらつきを再現しているところなどである。

ハイパワーカーにありがちなのか、アイドリング中に音をわざわざばらつかせている表現が見られた。

違和感を感じたというのは、選択したエンジン音と車から伝わってくるパワー感やらレスポンスやらの差異である。

特にV8アメリカンのような音を選択した場合は、違和感満載である。

スピーカーからはドロドロ、ガチャガチャという暴力的な機械音を奏でているのに、車体のほうは、シルキー6とは言わないまでも、4気筒2000ccの控えめかつ上品な加速感が伝わってくる。

この違和感はストレスとなるので、システムをキャンセルしたくなる気持ちも十分にわかる。

当然ながら、今回のものはあくまでiPhoneアプリであるので、本気でメーカーが調整したものとはとても比較できるレベルない。

もっと素晴らしいものに決まっているが、それを称賛する書き込みはあまり見当たらないのが現実のようだ。今後の発展に期待といったところだろうか。

アクティブサウンドシステム(体験版)について分析してみる

では、何がそんなにも違和感とストレスを生み出しているのだろうか。

あくまで体験版、E90 320i+OBD2+iPhoneアプリのものであるので、参考程度だが、ざっくり思いつくものを書いてみた。

  • 使用者がスピーカーで本物を再現できると勘違いしてしまう
  • 使用者が本物と比較してしまう
  • 使用者が偽物だという先入観を持っている

良くも悪くも今回のアプリには、再生する排気音の車種が想像できる形となっている。

そのため、スピーカからその車種の排気音が出てくれば、疑似体験ができるものと思ってしまう。

しかしながら、音の響き方や車体の振動、加速感、エンジンレスポンスなどからなんとなく、これじゃない感を感じるのだろう。

さらに、実際に聞いたことや乗ったことがある人ならば、なおさらのことである。

実際の排気音の録音であったとしても、同様の理由でこれは偽物だと判断するだろう。

加えて、そもそも偽物であると思って使用しているのだから、あらさがしをして、偽物である理由を無意識に探し出すだろう。

その結果、アクティブサウンドシステムをまったくもって、楽しめないといったことにもなり得る。

さらに蛇足だが、アクティブサウンドシステムを使用して、車外スピーカーで排気音を演出するのは、個人的にお勧めしない。詳細は省くが、失うものに対して得るものが少ないのでやめておこう。

アクティブサウンドシステムを楽しむコツ

これはどんなに技術が進歩しても変わることはないだろう。

例えば、徹底的にこだわったフェラーリサウンドを最高の音響システムで再生しても、クラウンで再生されたフェラーリサウンドは本物とは違うと認識されるだろう。

それは、維持やプライド、思い込みではなく、人間の正直な感想であり、およそ正しい。

なぜなら人は音だけでフェラーリサウンドを感じていないからである。

極端に言えば、振動含め、近しいものを再現するためには近しい構造が必要になるからである。

そのため、アクティブサウンドシステムはすでにある排気音を再現するためのものではなく、新しい価値を作り出すものであると認識することが重要である。

料理でいえばスパイス、ビジュアルでいえば化粧のようなものであり、本来あるものを脚色するものであると考えるとわかりやすいだろう。

そして、当然その車にあったサウンドを加えることで、今までにはなかった新しい世界を表現することができる。そんな素敵な未来のシステムであると感じた。

例えば、クラウンをフェラーリに変えるためにフェラーリの排気音を鳴らすのではなく、クラウンの新しい表現のためにフェラーリのような排気音を加えるのである。

結果として、新鮮な気持ちでドライブを楽しむことができるだろう。

音楽と一緒で、気分や状況に合わせて排気音を調整、変更していくシステムが、アクティブサウンドシステムの存在価値であるといえるだろう。

個人的な見解であるが、E90 320i+OBD2+iPhoneアプリでいい感じに調整できた方法を紹介してみる。

自分だけのチューニングを発見するのも面白いかもしれない

  • ボリュームは乗っている車の実際の排気音がギリギリ聞こえるかどうかくらい
  • エンジンフィーリングに合う排気音を選択する
  • 再生能力を考慮してスピーカーをチューニングする

最も盲点であったのが再生ボリュームである。

アクティブサウンドシステムと聞くと思わず大音量で排気音を再生したくなるのが人情であるが、すぐに気持ち悪くなる。単純にうるさいのだ。

乗ったことはないが、実際のスーパーカーも車内が排気音まみれで、会話もできない状態とは思えない。

乗っている車の排気音が気のせい程度にかき消されて聞こえるくらいがちょうどいい。

そのため、静音性の高い車のほうがバランスをとりやすいだろう。

続いて、エンジンフィーリングに合う排気音を選択する。

前述した通り、アメリカンのようなドロドロとした暴力的な音はノーマルカー、少なくともE90 320iにはあまりにミスマッチである。こればかりはギャップが大きいので、調整が難しい印象だ。

個人的にはフェラーリの音かロータリーの音なら耐えられるといったところだろうか。

好みの問題もあるが、チューニングカーやアメリカン系とは全くと言っていいほどノーマルのE90 320iにマッチしない。

そして、十分な再生能力を持ったスピーカーもこのシステムには欠かせない。

ホンダによれば、スピーカーはダッシュボード下側あたりから音を出すことでリアリティを演出できるとある。

少なくともエンジン回転数である600~9000r.p.m.を再生するために20~1000Hz程度の再生能力を確保しよう。どちらかというと低音側が不足しそうなので、ウーファーの設置は必要だろう。

ちなみにエンジン回転数600~9000r.p.m.(回/分)これをHz(回/秒)に換算すると10~150Hzで、4気筒の場合1回転あたり2回爆発しているので、20~300Hz、12気筒で30~900Hzといったところだ。吸気音や他の音にこだわるならツィーターも必要かもしれない。

ノーマルスピーカーよりはリプレイススピーカーのほうが迫力ある音をならせるだろう。

ちなみにE90 320iのスピーカシステムは100Hz以上をドアスピーカー、それ以下をウーファーで鳴らす。そして人間の可聴域は20~20000Hzと言われているので参考まで。

アクティブサウンドシステムの今後

このシステムが実用化された背景には厳しい環境規制があることは想像に難くない。

今後ますます環境規制が厳しくなる中、ドライバーの運転する楽しみを創造できる画期的なシステムだと感じている。

現在、アクティブサウンドシステムは、実車の排気音の再現に必死になっている状態であるかもしれないが、見方を変えれば、今までの実車では不可能だった表現もできるシステムである。

例えば、ドレミファインバーターの音でBMWをドライブする日が来るかもしれない。

そんな楽しいドライブができる日を楽しみにしている。

本日はここまでとする。本記事が楽しいBMWライフの一助となれば幸いである。

それではまた。

まとめ

  • アクティブサウンドデザインは疑似排気音をスピーカーで再生するシステム
  • OBD2+iPhoneアプリで似たようなものを簡易的に体感できる
  • 他の車の排気音をコピーするのではなく、新しい車の価値を提供し得るシステム
  • 正しくチューニングすれば素晴らしいシステムとなり得る
  • 今後の技術の革新に期待できるシステム

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