エンジンオイル交換は重要なメンテナンスであり基本
- 作業難易度 :★★(特殊工具が必要)
- 事故時の危険度:★★★★★(火傷、重傷、死亡のリスク)
- 体感度 :なし(何も変わらない)
- 作業時間目安 :30〜60分
- 予算 :約4,000円(ほぼオイル代)
- メンテ周期 :5,000〜10,000km毎
- 注意点 :エンジンが冷えてから行う
- :ジャッキの他に確実に隙間を確保できるものを準備
こんにちは、今日も元気にメンテナンスしていこう!
今回はエンジンオイルの交換作業を実施する。
エンジンオイルの交換は、洗車と並んで車のメンテナンスの基本である。
エンジンオイルはエンジン内部を循環して、摺動部品を潤滑することが主な役割である。
中にはエンジン内部を循環、潤滑するだけならエンジンオイルの交換はしなくてもいいじゃないかと思う人もいるかもしれない。
何なら、BMWジャパンでは5万kmほどはエンジンオイルの交換が不要であるといわれているようである。
文字にするととても単純なエンジンオイルの役割であるが、その実際は非常に過酷な環境で酷使されているものである。
私の見解では、交換しなくていいオイルなど車の中には存在しないと思っている。
その中でもエンジンオイルは最も過酷な環境にさらられているオイルである。
本機のE90、320iであれば2000ccのエンジンであるので、エンジン内部を約4リットルぐらいのエンジンオイルが循環している。
そして、アイドリング状態でも1分間に600~800回転ぐらいでエンジンは回転している。
その間エンジン内部のシリンダーではガソリンが燃え続けている。
間欠的にではあるが、ガソリンが爆発しているシリンダー内部温度は最大で2000℃にも達する。
常に摺動部を潤滑し、高温にさらされた挙句に燃えカスや擦れた金属粉も回収しながら、エンジン全体を巡り冷却の役割も果たしている。
まさにスーパーブラックな環境で頑張り続けているのがエンジンオイルなのだ。
そんな過酷な環境にあるエンジンオイル、その劣化するスピードは推して知るべしといったところだ。
どうだろうか、だんだんエンジンオイルを交換したくなってきたのではないだろうか。
使用状況にもよるが、自然吸気エンジンであれば、5000~10000km走行毎にエンジンオイルを交換はしてもいいのではないかと思う。
ターボなどの過給機を使用している場合は、その交換サイクルはさらに短くなる。
そんなエンジンオイルだからこそ、その交換作業はそう難しくはないようにできている。
これを機会にエンジンオイルの管理にチャレンジしてみるのもいいかと思う。
しかしながら、お店との付き合いや数多くのメンテナンスサービスなどもあるので、必ずしもDIYで実施する必要はない。
さらに基本と言いながらも、ドレンボルトはエンジンのオイルパンに直結していので、万が一破損すると素人での対応が難しい場所でもある。
例えばドレンボルトを締めすぎると、ドレンボルトをねじ切ってオイルパンからのエンジンオイルが抜けなくなってしまう。
最悪は締めすぎを恐れて、ドレンボルトの締め付けが弱すぎる場合である。
常にエンジンの振動にさらされたドレンボルトが緩んで、走行中のオイル漏れによるエンジンブローだ。
すこし怖いことも書いたが、正しい作業を行えば、エンジンオイルは簡単に交換できることも事実である。
ここ「めんてや」の基本コンセプト、小さいことは気にしない、要所を押さえて手抜きするで作業を実施していく。
エンジンオイル交換作業前に準備するもの一覧
まずは、エンジンオイル交換に必要なものを準備する。
以下に準備するものを書いたので、参考にしてほしい。
- エンジンオイル 4L程度
- ドレンワッシャ(銅ワッシャ) M12 1個
- オイル吸収材 5L程度
- ジャッキ(代替品可)
- オイルジョッキ 2L〜5L程度
- トルクレンチ 30N・m設定
- ソケットレンチ 6角17mm
- マイナスドライバー 大きめのもの
- ウエス(キッチンペーパーでも可)
通常ドレンワッシャは新品を準備するのが安心だ。
エンジンオイル交換作業そのものは、ドレンボルトを緩めて、オイルを抜いたら、ドレンボルトを再度締めてエンジンオイルを注入するだけの作業だ。
しかし、エンジンオイルを入れた後に再度ボルトを外すわけにはいかないのでドレンワッシャくらいは新品にしよう。
ちなみに、工具の使い方の話であるが、ソケットレンチとスパナ、眼鏡レンチは、厳密にはそれぞれ役割が異なる。
可能であれば、ここではソケットレンチを準備しよう。
最もボルトを破損する可能性が低いのがソケットレンチだ。
最初のボルトの緩める作業と最後の締め付け作業はソケットレンチの使用をお勧めする。
作業中にジャッキが外れても安全は確保する
エンジンオイル交換に限らず、どんなメンテナンスや作業もそうであるが、最も重要なことは安全の確保である。
E90においてオイルを抜くためのオイルドレンボルトは車両下側にある。
アクセスするには、エンジン下まで潜り込む必要がある。
私の腕はかなり長い方であるが、それでも潜り込まずに交換作業は不可能な位置に設置されている。
これは走行性能を高めるためにギリギリまでエンジン搭載位置を下げたためだろう。
そのため、下に潜るためにはジャッキアップするなどして、車両前方を持ち上げる必要がある。
この時、細心の注意を払う必要がある。
常に車両の下に潜り込む際は、作業中にジャッキが外れることを前提に準備することが重要だ。
もし、車と地面との間に体が挟まれたら、ただのケガでは済まない。
具体的な対策例としては下記、いくつかあるが要は物理的に体が挟まれない工夫を施すことだ。
- ジャッキのほかにリジット固定できる馬を噛ませる。
- 車体と地面の間にブロックやホイールを挟み込む。
- 地面にもぐれる穴を掘る。
- スロープを用いて車両前方を持ち上げて作業する。
私は、タイヤを外すことがない限りはスロープを使用している。
たとえ、作業中に片方のタイヤが外れてもスロープが潰れない限りは命は助かる。
たかがオイル交換作業であるが、1500kg以上ある車の下に潜り込むリスクは大きい。
地面との隙間はせいぜい150mm〜250mmほどだ。とても体が入る隙間ではない。
ネジ式のジャッキも油圧ジャッキもその効果を信じてはいけない。
ジャッキは持ち上げる工具であり、固定する工具ではない。
たとえ車を壊してもケガだけはしてはいけない。最重要事項であるので何度でも書いていく。
Donext カースロープ タイヤスロープ 整備用スロープ 耐荷重7t ローダウン車対応 ジャッキアシスト タイヤ止め ジャッキ補助 2個セット準備ができたらオイル交換作業開始
車体前方を持ち上げ、十分に安全を確保したら、いよいよエンジンオイル交換作業に入る。
E90のオイルドレンボルトはアンダーカバーの奥側にある。
アクセスするには、アンダーカバーについているメンテナンス用の小窓を開ける。
場所は車両中央エンジンの下あたりだ。フロントミッドシップレイアウトの車なので、エンジンは前輪の車軸よりも奥にある。
後の写真で、ドレンボルトの様子を撮影できているが、作業時はほどんど視認できない位置に設置されている。
ちなみに写真上側が車両のフロント側である。
プラスチックの留めネジの溝にマイナスドライバーなどを使って半周ほどさせると、小窓が開放される。
小窓が開放された状態。フロント側に開く。
小窓はアンダーカバーの溝に引っかかっているだけなので、容易に取り外すことができる。
今後の作業の邪魔になるので、ここで取り除いておく。
ちなみに小窓の手前側にある金属部分が、車両前方中央のジャッキポイントである。
エンジンオイルをは冷えているか
小窓の奥からドレンボルトが確認できた。
ここを外すとエンジンオイルが流れ出てくるので、必ずエンジンが冷えていることを確認する。
走行後のエンジンオイルは100度を超えていることがあるので、必ずエンジンが冷えたことを確認してから行うこと。
ドレンボルトの頭はなぜか薄型のものとなっているので、工具を滑らせないように注意しよう。
最悪、破損してしまった場合は中央の六角穴を用いて開けることができる。
その場合はドレンボルトも新品に変えておこう。
ドレンボルトを外した後のオイル処理はオイル吸収材を使用する。
処分方法は各自治体により異なるので確認しよう。
オイル吸収材は、ネット通販や日曜大工用品店、カー用品店などで購入することができる。
安全が確認できたら、オイル吸収材をドレンボルト設置位置の下に置く。
対角17mmのソケットレンチでドレンボルト緩め取り外す。
すると勢いよくオイルが飛び出してくるはずだ。
はずみでドレンボルトとワッシャを紛失しないようにしっかり確保しよう。
だいたいのエンジンオイルが抜けきるまでしばし待つ。
ここで特に最後の1滴までオイルを抜かなくても大丈夫である。
どんなに待ってもエンジン内部には1リットル程度のオイルは残ることになる。
ざっくり80%程度もオイルが入れ替われば十分である。オイル交換頻度を保つほうが重要だ。
私はおおよそ10000kmごとの交換を目安にしている。
ドレンボルトを規定トルクで締めこむ
あらかたエンジンオイルが抜けたら、取り外しと逆の手順でドレンボルトを組み付ける。
この時、M12ドレンワッシャは新品と交換すること。
1回くらい交換しなくてもオイルが少し漏れる程度であることが多いが、高いものでもないので交換しておく。
ただでさえオイル漏れのリスクが多い車種であるので、確実につぶせる要因から潰しておきたい。
もう一つ重要なことは、ドレンボルトはもちろんボルトを取り付ける際は、はじめに手で締めることである。
最初から工具を使うとボルトの溝を舐める可能性がある。
そして最後の締め付けには、必ずトルクレンチを使用して締め付けること(締め付けトルク:30N・m)
小さいことは気にしないブログではあるが、締め付けトルクは思った以上に重要な項目である。
再度書くが、ドレンボルトの締め付け場所は、エンジンオイルパンのネジ山である。
締めすぎては破損の原因となり、緩すぎてもオイル漏れの原因となる。
適切な締め付けトルクで締めこむことがとても重要である。
ドレンボルトを適正トルクで締め付けられたら、取り外してあったアンダーカバー小窓も取り付ける。
小窓は固定ネジで固定しておく。
なんだか、なくてもよさそうな部品だが、車両下の空気の流れは騒音や燃費、走行安定性に大きく影響する。
時速100kmで走行しているときはこんな小さな穴も走行に影響を及ぼすだろう。
同時にアンダーカバーのある車は、走行性能に気を使った車であることがわかる。
エンジンオイルの跡は残さない
いよいよ、ボンネットを開放して新しいエンジンオイルを入れていく。
ボンネット開放レバーは、右ハンドル車ならば運転席右足あたりにあるはずだ。
レバーを手前に引き出して、バコンという音がしたらボンネットが半開状態だ。
運転席を離れて、ボンネット先端裏側にあるレバーを上に上げながら、ボンネットを開放する。
これらは大抵の車は同じ操作方法であるだろう。
写真はボンネットを開けた状態。
「BMW」と記載のあるエンジンカバー左手前にオイルキャップがある。
そのキャップを反時計回りに90度回転させるとエンジンオイル注油口が開放できる。
オイルキャップを開けた状態。ここにエンジンオイルを流し込んでいく。
ここもエンジン内部へ直結しているので、異物の落下に注意しよう。
エンジンオイルは個人的にカストロールが好きであるのでこちらを使う。
特に大きな理由はないが、ロゴと響きがかっこいいからだ。
オイルジョッキにエンジンオイルを入れて、エンジンの注油口に注ぎ込む。
オイル缶から直接でも作業可能であるが、4リットルのオイル缶は重いし、飛び散ったオイルを掃除するのが大変だ。
飛び散ったオイルをそのままにすると漏れ出したオイルと見分けがつかない。
オイルジョッキかロートを使用すると作業性が大きく向上する。
ぜひ一個は持っておきたい工具ではある。
ゆっくりとオイルを注ぎ、作業完了後にオイルキャップを閉める
最後にボンネットを閉めれば作業完了である。
蛇足であるが、この時ボンネット内には絶対に工具をおいてはいけない。
大抵、工具を置き忘れたままボンネットを閉めることになる。
かくゆう私も経験者であるので実感できている。
ドライバビットを残したままボンネットを閉めて、内側から大きくボンネットを凹ませてしまった。
当然、ボンネットも私の心もべっこりと凹んだままである。
思いのほか、ボンネット内にモノを置き忘れたり落としたりしやすいので、ぜひ気を付けていただきたい。
最後にエンジンオイルレベルを確認する
以上で作業完了なのだが、最後に念のためオイルレベルを確認しておこう。
なんとこの車、エンジンオイルのレベルゲージがエンジンルーム内に存在しない。
メンテンナンス好きなら一度は見たことのあるだろう、あの黄色い細く長い棒である。
そんな、あって当たり前のものが、この車にはない。
特に面倒な作業でもないので、別にあってもいいのにと思う。
ではどうすればいいのか、まずは運転席に座ってエンジンをかけよう。
次はE-DRIVEからメニューボタン、車両ステータスのオイル情報へと進む。
すると画面にエンジンオイルレベルが表示されるので、その結果が正常値であることを確認する。
読み込みには数分かかるというとんでもない仕様である。黄色い棒なら10秒で終わる内容だ。
しかも量るたびに結果が微妙に異なるので、いまいち信用できない感じは否定できない。
やはり個人的にはアナログなオイルレベルゲージが好きだ。
あと、気になる場合は、とても簡単なのでオイルフィルターも同時交換するとよい。
今回はここまでとする。
本記事が楽しいBMWライフの参考になれば幸いである。
それではまた。
まとめ
- エンジンオイルの役割は過酷
- 交換しなくていいオイルはない
- 最優先事項は安全確保
- オイルは漏らさない、こぼれたら拭く
- ドレンボルトの締め付けトルクは重要
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