柔道は崩しが最初の一手
こんにちは、本ブログは、柔道に興味のある〜初段取得程度までの方を対象に書いている。
柔道の理解と競技人口増加の一助となってくれれば幸いである。
今回は人の不安定さについて書く。
柔道における投げ技は、大きく「くずし」、「つくり」、「かけ」の3挙動に分けることができる。
とりわけ「くずし」については、柔道技の最初の挙動であるにもかかわらず、感覚がつかみづらく習得に時間がかかる。
ざっくりいうと「くずし」とは相手を不安定にさせる技である。
八方のくずし
柔道の基本の一つが八方のくずしだ。
八方のくずしとは、相手をくずす方向のことだ。
具体的には相手の前後左右の4方向とその中間の4方向のことだ。
人が2本足で立つということ
ここで、人が安定して立っている状態とはどうゆう状態かを考えると「くずし」がわかりやすい。
- 足のつま先とつま先を結んだ線
- 足の踵と踵を結んだ線
- 足の裏の面積
この安定エリアに重心がある時にのみ人は安定して立っていられる。
これは、自分の足元を見てみるとわかる通り、驚くほどせまく、かつ人間の重心は高い。
つまりは二本足で立つ人間は驚くほど不安定で非合理的な生物であるといえる。
何らかの方法で、相手の重心を安定エリアの外に出すことを総じて「くずし」という。
柔道の基本姿勢「自然体」
安定エリアが広く、重心の移動に柔軟に対応できる足幅が概ね肩幅程度であり、その状態を柔道において「自然体」という。
自然体は安定エリア効率は良いが、言うまでもなく、エリアは長方形であり、踵側が最も弱く、次につま先側が弱い。
そのため、どちらかの足を半歩ほど前に出し、相手に対して斜に構え、弱点を相手の正面からずらした状態を右自然体、もしくは左自然体という。
人を投げるということ
人を投げるということは、派手に投げ飛ばしている場面が目に浮かぶが、実際はその何手も前に勝負はついている。
柔道という競技の性質上、くずしが成立した場合に相手を投げることができる。
言い方を変えると、相手の質量の多くをエリア外に出すことで、相手を制することができる。
相手を制した時点で、残りの「つくり」と「かけ」はおまけみたいなものだ。
柔道の技の反復練習を「打ち込み」というがこれは主に「つくり」と「かけ」の練習である。
「約束稽古」と言われるものも同様だ。
つまり、「くずし」は最も重要な要素であるにもかかわらず「乱取り稽古」か「試合」でのみ身に着けることができる。
これは、柔道の練習時間の割合を見ればわかるが、多くても全体の50%ほどである。
しかし、重要度は「くずし」が80%、「つくり」が15%、「かけ」が5%ほどかと感じている。
だからこそ、「人を投げることが難しい」と言われているが、常に「くずし」を意識しよう。