其の四:集中と分散

集中と分散をコントロールすることが技である

こんにちは、本ブログは、柔道に興味のある〜初段取得程度までの方を対象に書いている。柔道の理解と競技人口増加の一助となってくれれば幸いである。

いよいよ、武道の相手を制する基本について書いていく。

武道を志すにあたって、相手よりも強くなりたいと思うのは自然である。

相手より強くなることは、武道の最終目的ではないが、導入としては非常にわかりやすい。

かくゆう私もより強くなりたいという思いで、柔道という手段をとった。

自分がどこまで強くなれるか試したいと思う気持ちもあった。まあ、今思えば男の子であり、若気の至りであるが、重要な動機の一つであり、今も変わらないモチベーションである。

力を集中することで瞬間的に大きな力を発生させ、相手を制すること、それが「技」である。

比較的わかりやすいイメージとしては「水」と「波」と 「点」 である。

相手を制するときは、まずは力の集中と分散をイメージしよう。

水のイメージ

「水」のイメージは人の体そのものであり、人体の80パーセントを占めるものは液体である。これを意識しよう。

水を含む液体の特徴は、密度が高く、ほぼ圧縮不可であり、形状が柔軟で固定されていないことである。ターミネーター2のT1000型的なイメージだ。

「じゃあどうすればいいの」ってなるが、脱力して体の水を感じよう。

次に息を吐きながら、全身に力を入れて体を硬直させ体内の圧力を高めてみよう。

まあ、できることは以上である。文章で書けるのはこのくらいだが、試合中に実践するのは実に難しい。繰り返し練習して、自然にできるようになろう。

波のイメージ

「波」のイメージは作用時間の集中、1の力を10の時間発生させるのではなく、10の力を1の時間で発生させるイメージ。波の重ね合わせの原理の応用だ。

これも難しいが、「脱力」してからの「力み」がキーワードだ。

点のイメージ

「点」のイメージは作用面積の集中、少ない力でもあらゆるものに穴を開けることができるイメージ。身近なものでは、針や釘や包丁などがそれにあたる。拳銃やドリルも基本的に原理は同じ。

これは別の言い方をすると「圧力」であるが、式で表すと「圧力=力/面積」である。

点や線は面積が限りなく「ゼロ」であるので、圧力は「無限大」となるから包丁は切れて、針は貫けるのである。これを人体で実現するのが「技」の一つである。

人体で最も面積が小さいのが指先かと思う。つまりは指突きが人体で最も貫通力の高い技である。ただし、指のほうがもたないので、大抵は拳や肘当てとなる。

技の積み重ね

このように、3つもしくはそれ以上の技を同時に利用することで、瞬間的に爆発的な力を発生させることができる。

これは武術や多くのスポーツなどの基本原理であり、多くのものに活用できるコツや極意的なものである。これらを総称して「技」と言っているのである。

いろいろ書いたが、つまりは、体の中の「水」で「波」を「点」でぶつけるだけである。

最も難しいのは「波」であり、最も効果の高いものも「波」である。

なぜなら、「波」は多様であり、集中するには訓練が必要であるからだ。

一例としては、「精神統一」や「気を練る」とは心の波を整える、つまりは気持ちを集中するということである。

具体的にはどんな感じ?

上記の技をうまく応用しているものは、あまりなじみがないが「拳銃」である。

一般的には「恐ろしい殺傷能力を持つ凶器」である。

しかし、よく考えると、それほどでもないことがよくわかる。

拳銃は火薬の瞬間的な爆発力により、小さな鉄の弾を手のひらから打ちだす道具である。

所詮は人間の手のひらから打ち出されている小さな鉄の弾なのである。

つまりは、手のひらの力を直径数mmの剛体に瞬間的に集中させれば実現可能な現象だ。

さらに言えば、人体であっても使い方によっては拳銃に等しいか、それ以上の殺傷能力を実現しうるのである。

「技」とはそれほどまでに強大な力であることを理解しよう。

力の分散

力の集中について書いてきたが、同時に力を分散させることも相手を制することにつながる。つまりはこれも「技」である。

集中した「技」は、それこそ無限とも思えるほどに大きな力となるが、反面リスクが大きくなりスキが生まれやすい。

ざっくりいうと強大な「大技」であればあるほど、時間と場所をわずかにずらすだけで、その効果はなくなり、スキもおおきい。

格闘ゲームなどで、大技ほど当てるのが難しいのに似ている。

蛇足:以外にも的を得ている漫画の描写

以外なほど、上記の「技」に対してリアルに描かれている漫画があったので紹介する。

まずは「刃牙」である。

これはそれっぽいが、かなり大げさに描かれている。まあ、漫画であるのでしょうがない部分はあるが「脱力」や「力み」について描かれている。

作者の勉強熱心で実体験をもとに描かれていることも読み取れる。

しかしながら、以外にも驚いたのが「鬼滅の刃」である。

これは、漫画家であるはずの作者がどこでこの情報を得たのかと思うほどリアルに描かれている。

追い詰められた極限状態で、人間に見えるものがいくつか描かれている。

「走馬灯」はよく聞くので不思議はないが、「全集中の呼吸」であったり「隙の糸」は、かなりリアルで他ではあまり描かれない要素だ。

これも漫画の人気の一助となっているのだと思う。

まあ、あまりのご都合主義である点は少年漫画であるので致し方なし。

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